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バイリーンファミリーVol.132 2016年春号掲載

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画像の文章が読みづらい場合は下記をお読み下さい。 (原文通り)

PART1 歯は人生の活力源!歯周病の基礎知識

Q.歯周病とはどんな病気ですか?

口の中には300種類以上のばい菌が暮らしています。冒頭からあえてショッキングな表現を使いますが、「口はお尻よりも不潔」と言われることもあるんですよ。そうした、ばい菌の塊であるプラークや歯垢がいろいろな悪さをします。一部は歯に取り付いて酸を出し、歯のエナメル質や象牙質を溶かすことで、虫歯を引き起こします。

その虫歯菌とは別に、空気を嫌い人間の血を好むばい菌がいます。これこそが歯周病菌です。歯と歯ぐきのわずかな隙間にすみ付いた後、どんどん奥へ潜り込み、歯を支えるセメント質や歯ぐきにダメージを与えます。症状が進行すると、歯槽骨を溶かし、最終的には歯が抜けることもあります。

Q.なぜに日本人の8割も罹患しているのですか?

さまざまな原因が考えられますが、一番は虫歯と違って、痛みなどの自覚症状が現れるタイミングが遅いからです。冷たい飲み物がしみたり、歯のぐらつきを感じたりして、歯医者に駆け込んだころには、かなり症状が進行していたということが珍しくありません。そのため、歯周病はサイレント・ディシーズ(静かなる病)と呼ばれています。

また、歯の真ん中辺りをしっかり磨かれている方は多いのですが、歯と歯ぐきの境目を意識的にケアされている方はあまりいません。そうしたお手入れ方法にも問題があります。(正しい予防方法P8で解説)

Q.虫歯になりにくい人は、歯周病の心配もありませんよね?

いえいえ、そんなことはありません。実はその誤解が一番恐いのです。確かに歯が丈夫で、虫歯にかかりにくい人はいます。でも先ほど説明した通り、虫歯と歯周病、それぞれの原因となるのは別の種類のばい菌。だから虫歯菌への耐性があっても歯周病菌への耐性を持っているとは限りません。むしろ虫歯にかかりにくい人は口のお手入れをおろそかにする傾向があるので、歯周病に罹患するリスクは高いといえます。

Q.歯ぐきから血が出るので、その周辺は磨かないようにしていますが、問題ありますか?

歯ぐきからの出血は、歯周病菌の重要なシグナル。恐いからといって、歯ぐきを磨かなければ、確実に症状は進行してしまいます。しばらくは出血覚悟で優しくブラッシングしましょう。血液と一緒にばい菌も流れ出るため、そのうち出血も収まるはずです。

そのほか歯周病のシグナルとして、以下の症状が挙げられます。当てはまる方は、より丁寧な歯ぐきのブラッシングを心掛けましょう。

Q.なぜ歯周病予防が大切なのですか?

歯周病は口臭の原因になりますし、不健康な歯ぐきは見た目もよくありません。さらに、血管や心臓、肺など全身にも悪影響を及ぼします。(詳しくはP6~7で解説)。また歯がなくなると食の楽しさが失われてしまいます。自分の歯でかむからこそ得られる、食の味わいや満足感は、入れ歯やインプラントなど人工歯で代用できるものではありません。

今、厚生労働省や日本歯科医師会の呼びかけで、80歳になっても自分の歯を20本以上保つ「8020(ハチマルニイマル)運動」が推進されています。そのベースには歯がクオリティ・オブ・ライフ(人生や生活の質)を左右する存在という考えがあります。皆さんもしっかりケアをして歯を大切にしてください。

PART2 まさかこんなところにも影響?歯周病と体の関係

こんなに恐い病気につながっているって知ってましたか?

認知症

自分の歯でかむと、その都度、脳に刺激が送られます。しかし歯周病で歯がなくなってしまうと、入れ歯やインプラントをしても、脳には刺激が伝達しないといわれています。そのため脳が委縮し、認知症のリスクを高めると考えられています。

動脈硬化・心筋梗塞

歯周病菌は血液が大好き。症状が進行すると、口の血管にばい菌が入り込みます。血管は体全体を駆け巡っているため、そのばい菌は心臓に到達。心内膜炎と呼ばれる危険な心臓病の引き金となります。

また血管に負担が掛かることで、動脈硬化や心筋梗塞などのリスクが高まります。重い歯周病の方は、健康な方に比べ心筋梗塞の発症率が2.5倍になります。

肺炎

肺炎の中でも恐ろしいとされているのが、誤嚥性肺炎と呼ばれる病気。食べ物や唾液、口の中の細菌が誤って肺に流れ込むことで引き起こされます。歯周病のひどい方が罹患する率は、健康な方の2.5倍です。

メタボリックシンドローム

歯周病予防につながる規則正しい生活、間食の抑制、よくかむ食事法は、肥満防止のもつながります。逆に肥満になりやすい生活習慣の方は、歯周病にもなりやすいといえます。

早産・未熟児

妊娠中は、つわりなどで歯磨きが後回しになりがち。そのため歯周病になる方が珍しくありません。恐いのが、歯周病による炎症で出てくる物質が胎盤に悪影響を及ぼすこと。つまりお腹の赤ちゃんの適正な成長を妨げる可能性があるのです。歯周病の方は、健康な方と比べ早産・未熟児産となる割合が7倍です。

骨粗しょう症

もともと女性に多い骨粗しょう症ですが、この病気の方が歯周病になると、歯槽骨が急速にやせてしまいます。さらに歯がなくなって、かむ力が衰えると、食事でカルシウムを摂取する頻度も自然と少なくなると考えられます。そやって骨を弱くする負のスパイラルへと陥ってしまうのです。

PART3 意外と簡単!歯周病の予防法

・歯を磨くタイミング

昔から、「物を食べた後にすぐ磨くこと」「1日3回の歯磨き」などが推奨されてきましたが、実はそれ自体にはあまり意味がありません。食べかすやプラークなどが、歯石のような歯磨きで取り除きにくい状態となるのは24時間かかるといわれています。大切なのは1日1回でも、しっかり隅々まで磨くことなのです。

・歯の磨き方

歯の表面の汚れは意外と簡単に落ちるもの。でも、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯の後ろ側、奥歯のかみ合う面、前歯の裏側は磨き残しが多いところ。歯周病ケアの観点からいえば、歯と歯ぐきの境目を、時間をかけて丁寧に磨くことが大切です。

歯ブラシを45度に傾け、歯と歯ぐきの境目などを丁寧に磨きましょう。

・お薦めアイテム

歯ぐきが健康な方は普通の硬さの歯ブラシを、また、歯ぐきが弱っている方は柔らかい歯ブラシを使うとよいでしょう。ただし、どれだけ丁寧にブラッシングをしても、歯ブラシだけだと歯と歯の間の磨き残しが発生してしまいます。そこで歯間ブラシや部分磨き用ブラシの併用がお勧めです。

歯医者での定期ケアについて

歯周病ケアとして、歯医者で定期的に歯石を取る手法もあります。しかし、日々あまりお手入れをしていない方がこの歯石取りを受けても、予防にはつながりません。なぜならば歯ぐきの炎症を抑えるのに、歯科衛生士の技術力だけでは限界があるからです。繰り返しになりますが、歯周病はとにかく丁寧なセルフケアが重要なのです。

検査で歯周ポケットの深さが1~2ミリ程度であれば健康。歯周病ケアは自分主導で行うといいでしょう。歯医者での歯石除去は半年に1回ほどのペースで十分です。3~4ミリの場合は、注意が必要。歯医者のアドバイスに耳を傾けましょう。5ミリ以上は重症なので、治療は歯医者に任せることをお勧めします。