【監修:You矯正歯科大阪医院院長】
「矯正治療を始めたら、少し痩せた気がする」とか「食事の量が減ってダイエットになった」「歯列矯正を始めたら、フェイスラインがスッキリした」などの声を患者さんからいただくことがあります。
実際、歯列矯正を始めてから体重が減ったり、フェイスラインがスッキリしたりする方は少なくありません。
今回は、歯科医師の立場から「矯正治療で痩せると言われる理由」と「注意したいポイント」をやさしく解説します。
「矯正治療とダイエット」の噂の真相と、そのメカニズムについて、科学的根拠を交えながら詳しく解説します。
■ 矯正治療で痩せる3つの理由
1. 【一時的な変化】矯正治療初期に訪れる「食事量の減少」
矯正治療がスタートした直後や、ワイヤー調整、マウスピースの交換後数日間は、多くの患者様が以下の変化を経験します。これは、体重減少の最も分かりやすい初期のメカニズムです。
1-1. 装置による痛みや違和感
歯を動かすための矯正力は、人によっては痛みや違和感となって感じられます。特に治療を開始したばかりの時期(装置装着後の1週間)は、固いものを噛むのが辛く自然と柔らかいものを選び、食事の際にストレスを感じやすくなります。
食べるものの変化: 固いものを噛むのが辛いので、必然的にお粥やゼリー、スープ、柔らかく煮た野菜など、消化が良く低カロリーな食事を選ぶようになります。
食欲の減退: 痛みや違和感から、一時的に食欲が減退し、結果として摂取カロリーが減少します。
1-2. 食後の歯磨きの手間の為間食や夜食が減る
矯正中は、ワイヤー矯正の場合、装置に食べ物が挟まりやすくなるため、食後の歯磨きに時間がかかります。
マウスピース矯正(インビザラインなど)の場合も、飲食のたびに装置を取り外し、歯磨きをしてから再装着するという手間が生じます。
そのため、「食べたら磨くのが面倒」と感じて、間食や夜食を控えるようになる方が多いです。
この小さな生活習慣の変化が、長期的に見ると大きな「ダイエット効果」につながります。
間食の激減:矯正治療期間中は「ちょっとだけお菓子を」という軽い間食のたびに歯磨きが必要になるため、自然と間食を控えるようになります。
甘い飲み物の減少: 虫歯予防のため、糖分の入った飲み物(ジュース、加糖コーヒーなど)を飲んだ後も歯磨きが必要になるため、水やお茶を選ぶようになり、余分なカロリー摂取が抑えられます。
この初期の体重減少は、装置に慣れてしまえば元に戻ることがほとんどです。
治療を続けるうちに時間経過とともに痛みも軽減され、食事の工夫もできるようになるため、矯正中にずっと痩せ続けるわけではありません。
2. 【長期的な変化】噛み合わせ改善による「体質改善効果」
矯正治療による体重減少の噂の真相は、むしろ治療が中盤?完了に近づくにつれて現れる、生活習慣と身体機能の根本的な改善にあります。
2-1. 咀嚼機能の向上と満腹中枢の刺激
歯並びが悪いと、奥歯で食べ物を十分に噛み砕けず、丸呑みに近い形で飲み込んでしまうことがありますが、矯正治療を進めると、噛み合わせが整い、しっかり噛めるようになります。
よく噛むことで満腹中枢が刺激され、少ない量でも満足感を得られるようになります。
また、よく噛むことには
- 食べすぎを防ぐ
- 消化を助ける
- 血糖値の上昇をゆるやかにする
などのメリットも。
つまり、矯正によって「よく噛む」「太りにくい食べ方」が自然に身につくのです。
これは、リバウンドしにくい「痩せやすい体質」に近づく、最も健康的なメカニズムと言えます。F
2-2. 消化吸収効率の改善
よく噛むことは、唾液の分泌を促し、食べ物を細かくすることで胃腸への負担を軽減します。
消化吸収効率が上がることで、必要な栄養をしっかり取り込みやすくなり、体の代謝が整うことにもつながります。
2-3. 不定愁訴などの体調改善にも効果的
噛み合わせは、頭の位置、首の筋肉、ひいては全身のバランス感覚に影響を与えます。
噛み合わせが整うことで片頭痛や肩こりなどの不定愁訴が改善し、日常の生活において、より健康的になるという報告もあります。
3. 【見た目の変化】「痩せた」と感じる心理的・審美的要因
実際に体重が大きく変わっていなくても、「痩せた」「小顔になった」と感じる方が多いのは、顔の印象が劇的に変化するためです。
3-1. フェイスラインのスッキリ化
歯並びのガタつきが解消されたり、出っ歯や受け口が改善されたりすることで、口元の突出感がなくなり、**Eライン(エステティックライン)**が整います。
特に、抜歯を伴う矯正治療では、歯が移動した分だけ口元全体が下がり、顎のラインがシャープになるため、周囲から「痩せた?」と聞かれるケースが多くなります。
■ 矯正後に「リバウンド」する人もいる?
矯正が終わって矯正前の生活に戻りますと、「やっと食べられる!」と好きなものをたくさん食べたり、矯正中に控えていたお菓子や夜食の習慣が戻ってしまう方もいます。
その結果、体重が戻ってしまう(リバウンド)ことがあります。
矯正中に身についた「食べすぎない」「よく噛む」「夜遅くに食べない」といった習慣を続けることが、ダイエットだけでなく健康的な体を保つ秘訣です。
■ 実は「痩せる」よりも大切な変化がある
矯正治療で得られる本当のメリットは、「見た目」だけではありません。
噛み合わせが整うことで、体全体に良い影響が出ることもあります。
たとえば…
- 顎や首の筋肉のバランスが整い、姿勢の改善や片頭痛や肩こりの軽減につながる
- 噛む力が均等になり、胃腸への負担が減る
- 口呼吸の改善によって代謝や免疫が上がる
このように、矯正は「体の内側から健康的にキレイになる治療」でもあるのです。
まとめ
痩せることより、「健康的な口元」を目指して
矯正治療による「体重の変化」はあくまで一時的なものです。
本来の目的は、「美しい歯並び」「よく噛める」「体調改善」を作ることです。
ただし、矯正によって噛み方や食生活が変わることで、結果的に健康的にダイエット効果が得られる方も多いのは事実です。
「見た目も中身もキレイになりたい」
そんな方にとって、矯正治療は美容にも健康にも価値のある治療といえるでしょう。
【まとめポイント】
- 矯正中は一時的に痩せやすくなることがある
- よく噛む習慣で満腹感が得やすく、太りにくくなる
- かみ合わせを改善することで、健康的な体質になる
当院では、見た目の美しさだけでなく、噛む機能や健康を大切にした矯正治療を行っています。
「歯並びを整えたい」「健康的に美しくなりたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。