【監修：青山健一】
目 次
1本の歯だけとび出ている・引っ込んでいる場合など、歯並びが気になる歯が1本だけという方には歯列矯正は少しハードルが高く感じる方も多いです。
歯列矯正はお金も時間もかかるため、治療をするにも簡単ではありません。
歯全体ではなく1本だけ治療をしたい場合は、部分的に矯正をする方法も選択が可能です。
今回の記事では、歯並びを1本だけ治したいときに選択できる治療方法と、部分的な矯正の注意点を併せて紹介していきます。
気になる歯だけを治療したいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
歯並びを一本だけ治したい人は多い？
全体的な歯並びは問題ないものの、1本だけ歯がとび出ている・引っ込んでいることに悩んでいる方は多いです。
1本だけ引っ込んでいると、その部分には歯がないようにみえやすく、とび出ている場合は場所によっては目立ってしまいます。
1本でも歯並びがずれていると、歯同士が重なっている場合や隙間ができてしまっていることも多いです。
歯同士の重なりや隙間ができていると、食べかすも溜まりやすく歯磨きもしにくくなるため虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
とび出ている歯があると、その歯で舌や頬の内側を噛んでしまい口内炎の原因にも繋がる可能性があるのです。
口の中の健康のためにも歯1本など、部分的に改善する方法として矯正治療という選択があります。歯並びが気になる方は、ぜひ検討してみてください。
歯並びを一本だけ治したいときの選択肢
歯並びが気になる箇所が1本だけの場合は、部分的に治療をすることで改善が望める可能性があります。
部分的な歯並びの改善の方法として、部分矯正とセラミック矯正についてお話していきます。
部分矯正
一般的に歯列矯正というと、歯全体に矯正装置を装着して全体的に歯並びを改善していきますが、部分矯正は前歯だけなど範囲を絞って改善する方法です。
動かす歯も歯並びが気になる部分だけになるため、治療にかかる費用や期間も全体矯正よりも少なくすみます。
部分矯正は2～3本から治療が可能です。部分矯正が可能かは口の中の状態によるため、まずは矯正歯科で相談をしてみてください。
セラミック矯正
セラミック矯正は、改善したい歯を削ってセラミックの被せものをいれる治療です。1本だけなどピンポイントで治療ができます。
人工の歯を被せるため、歯の色・形・大きさの選択が可能です。
また、セラミック矯正で使用する素材によって金額は変わるものの、費用もリーズナブルになっています。治療にかかる期間も短いです。
歯を動かして歯列を整える治療ではないため、歯並びが元に戻ってしまう後戻りの心配もありません。
デメリットは歯並びに問題があるとはいえ、健康な歯を削る必要があるため歯の寿命が短くなる可能性があることです。
部分矯正のメリット
歯並びを1本だけ改善させたい方には部分矯正で効果が望める可能性があります。部分矯正のメリットをみていきましょう。
費用を抑えられる
全体矯正は動かす歯が多い分高額な費用が必要です。一方、部分矯正は治療範囲を限定して行うため費用も全体矯正より安価になります。
治療の方法によって金額は前後するものの、部分矯正は全体矯正よりも1/3～1/2ほどの費用に抑えることが可能です。
矯正期間が短い
全体矯正では動かす歯の数が多いため治療にかかる期間は1～3年、保定期間をいれるともう少し長くかかります。
部分矯正であれば半年～1年で治療を終えることが可能です。最短だと3か月で治療が終わることもあり、スピーディーに治療が進みます。
結婚式などのイベントを控えている方や、治療にかけられる期間が少ない方は、部分矯正で対応することも検討されるとよいです。
痛みや違和感が少ない
歯列矯正は装置を使って、歯根ごと歯を動かして歯並びを整えます。歯の根は歯槽骨という歯を支える骨に埋まっている状態です。
歯列矯正は歯だけではなく、歯を支える骨に影響を与えながら動かすため、痛みや違和感がでることも多くあります。
部分矯正なら動かす歯も距離も少ないです。もちろん痛みがゼロとはいえませんが、全体矯正に比べて痛みも違和感も少ないといえます。
部分矯正の種類
部分矯正には、ワイヤー矯正とマウスピース矯正どちらかで対応することが多いです。ワイヤー矯正とマウスピース矯正、それぞれについて解説していきます。
ワイヤー矯正
歯の表面にブラケットを取り付けてワイヤーを通した装置で歯並びを整える治療がワイヤー矯正です。
昔ながらの矯正装置で、ワイヤーで理想に近い形に歯を動かせます。多くの症例に対応が可能です。
ワイヤー矯正は装置が目立つため敬遠される方も多くいますが、歯の裏側に装置を取り付ける方法や、目立ちにくい色の装置を使用する方法もあります。
部分矯正でワイヤー矯正を選んだ場合、治療にかかる期間は3か月～1年ほどです。費用は20～40万円が相場になります。
マウスピース矯正
患者さまの歯の状態に合わせて作られたマウスピース型の装置を使用して、歯並びを整える治療が、インビザラインなどのマウスピース矯正です。
マウスピースは複数枚作られ、定期的に新しいマウスピースに交換をしながら歯並びを理想の形に仕上げていきます。
透明で薄いマウスピースを使用するため、装置が目立ちにくく装着時の違和感も少ないです。また、マウスピースは自分で取り外しが可能な装置になります。
食事や歯磨きの際にはマウスピースを外すため、食事の制限の必要もなく歯磨きの際も装置が邪魔になることはありません。
マウスピース矯正は装置の取り外しが可能な分、患者さまの自己管理が重要です。マウスピース矯正をする際は、歯科医の指示をしっかり守りましょう。
マウスピース矯正は部分矯正の場合、治療期間が半年～1年、費用は30～60万円ほどが相場になります。
部分矯正で注意するべきこと
部分矯正は費用面や治療期間の短さなどメリットが多いです。しかし、メリットばかりではありません。
部分矯正を行う前に注意点も知っておくようにしましょう。ここでは、部分矯正の注意点ご紹介します。
噛み合わせは改善しない
部分矯正は前歯の部分だけなど、治療する範囲を限定して行います。歯全体を矯正する治療と違って、部分矯正では噛み合わせの改善は難しいです。
全体矯正では噛み合わせの問題も考慮しながら、歯全体を調整するため噛み合わせも一緒に改善できます。
部分矯正でも噛み合わせはできるだけ調整しますが、動かす歯は一部分だけです。
部分的な調整では限界があるため、歯並びだけではなく噛み合わせにも問題がある場合は、部分矯正だけでは対応できません。
噛み合わせの治療が必要な場合は、歯科医から全体矯正を勧められる可能性があります。
妥協が必要なケースも
部分矯正は動かす歯を限定して治療を行うため歯を動かせる範囲も少なく、仕上がりに妥協が必要になるケースも多いです。
全体矯正は歯全体を動かすため、理想に近い状態に歯並びを作ることができます。しかし部分矯正は動かせる範囲が狭い分、劣る面があるのです。
また、前歯を動かした影響で奥歯の歯並びに影響がでる可能性もあります。部分矯正をする場合は、対応できるかどうか歯科医に正しく判断をしてもらう必要があります。
下記から矯正歯科の無料相談の予約ができるため、まずは歯科医にご相談ください。
部分矯正ができない症例
歯並びが気になる歯が1本だけという方には、部分矯正は手が出しやすい治療です。しかし、誰でも部分矯正ができるわけではありません。
歯の状態によっては部分矯正では改善が難しい場合もあります。部分矯正では対応できない症例をみていきましょう。
顎と歯のサイズが合っていない
顎の大きさに比べて歯のサイズが大きい場合は、歯列に歯を並べるためのスペースの確保ができません。
全体矯正では歯を並べるスペースがない場合は、噛み合わせに影響がない歯を抜歯してスペースを作りますが、部分矯正では抜歯は行わないことが多いです。
顎にスペースがないのに無理に歯を並べようとすると、他の歯が押し出されてしまうなど別の場所の歯並びに影響する可能性があります。
歯を削るだけでは歯列にスペースを作ることが難しいと判断された場合は、部分矯正だけで歯並びの改善はできません。
奥歯の噛み合わせが悪い
ここまでもお話してきましたが、部分矯正では噛み合わせの改善は難しいです。もともと奥歯の噛み合わせが悪いケースは部分矯正では対応ができません。
奥歯の噛み合わせに問題がある方は、噛み合わせの改善が可能な全体矯正で歯並びだけではなく、噛み合わせを改善することをおすすめします。
歯並びを一本だけ治したいなら歯科医に相談を
気になる歯1本だけを治療したい方には部分矯正で改善が可能です。しかし、歯の状態によっては全体矯正をするほうがよいケースもあります。
顎が小さい方など、歯列にスペースが少ない状態で無理に部分矯正をすると噛み合わせや他の歯に影響がでるなどトラブルになる可能性があるのです。
また、同じ部分矯正でもワイヤー矯正・マウスピース矯正などの種類があります。どの治療にするかも、患者さまの歯の状態で異なります。
部分矯正で改善が可能なのか、治療方法はどれがご自身の歯に合うのかを歯科医に判断をしてもらってください。
部分矯正ができるか、正確な判断をしてもらうには矯正専門の歯科医が在籍するクリニックで、しっかり診察をしてもらうことが大切です。
下記リンクから矯正歯科の無料相談の予約ができるため、ぜひご活用ください。
まとめ
歯が1本だけずれているなど、一部の歯並びだけが気になっている方は多いです。全体矯正は費用も高く治療期間も長いため、治療に踏み切れない方もいます。
その点、部分矯正であれば全体矯正よりも手軽に感じるものです。気になる歯以外に問題がないのであれば、部分矯正で十分改善ができます。
しかし、歯が1本ずれている原因が顎の大きさや他の歯に原因がある場合は、根本から治療をしなければいけません。
場合によっては全体矯正を行うほうが、結果として思った通りの仕上がりにできる可能性があります。
1本だけの歯並びの改善を希望する方は、まずは矯正相談を利用して歯科医に相談をしてみてください。そのうえで最適な治療を受けるようにしましょう。
1965年 広島県呉市生まれ
