先天性欠如歯がある子供の矯正で知っておきたいことを歯科医が解説|矯正以外の治療方法もご紹介します

【監修:青山健一】

先天性欠如歯がある子供の矯正で知っておきたいことを歯科医が解説|矯正以外の治療方法もご紹介します

生まれつき歯の数が足りない、先天性欠如歯。先天性欠如歯の子供が増えているともいわれています。
先天性欠如歯は歯科検診などで指摘をされるまで、本人はもちろん保護者も気が付かないことが多いです。

歯が足りない状態を放置していると、歯並びの悪化や噛み合わせの問題など、口内環境に影響がでてしまう可能性があります。
先天性欠如歯とわかった際は、早めに歯科医で相談をするようにしましょう。

今回の記事では、先天性欠如歯の症状や治療方法について解説をしています。お子さんをお持ちの親御さんは、ぜひ参考にしてください。

先天性欠如歯の子供は意外と多い?

先天性欠如歯の子供は意外と多い?

生まれつき、何らかの理由で歯の本数が足りていない子供の数は少なくありません。
日本小児歯科学会が2007年~2008年に行った調査では、歯科受診した7歳以上の子供1万5544人のうち乳歯の欠如が75人、永久歯が1568人でした。

10人に1人の割合で先天性欠如歯の子供がいたということになります。先天性欠如歯がある子供は、近年も増加傾向にあるといわれています。

先天性欠如歯の概要

先天性欠如歯の概要

そもそも、先天性欠如歯で歯の本数が足りないというのは、どういう症状なのか特徴や考えられる原因についてのお話をしていきます。

特徴

本来の乳歯の数は全部で20本、永久歯の数は親知らずを除いて28本です。この、本来生えるべき歯の本数が生まれつき少ない状態が先天性欠如歯の状態です。

乳歯は顎の中で育つ永久歯に押される形で、歯の根が吸収されて抜け落ちます。しかし、生まれつき永久歯の芽がない場合は、乳歯が残ったままです。

中には、大人になっても乳歯が残っている方もいます。口の中のレントゲンをとると、永久歯に欠如があるかないか判断が可能です。
乳歯が永久歯に生え変わる時期は個人差があるため、生え変わりが遅いからといって、絶対に永久歯に欠如があるとは限りません。

しかし、10歳になっても前歯が乳歯のままや、13歳になっても臼歯が生え変わっていない場合は、1度歯科医で歯の状態をみてもらうことをおすすめします。

主な原因

主な原因

先天性欠如歯の原因として考えられているのは、下記の5つです。

  • 遺伝
  • 妊娠中の栄養不足
  • 全身疾患
  • 妊娠中に飲んだ薬の影響
  • 感染症

上記の5つ以外に現代の食生活の変化で顎が小さくなったことで、歯の本数が減っているといった説もあります。

上記の原因は、あくまで考えられるというもので、先天性欠如歯の原因は明確ではありません。原因が明確でないため、先天性の欠如歯の予防は不可能です。

好発部位

先天性欠如歯で、歯が欠如することが多いのは、乳歯なら上顎の前から2番目の歯である切歯です。
永久歯は、上下の第三臼歯(親知らず)・上顎の切歯(前から2番目)・上下顎の第二臼歯(前から5番目)・下顎の切歯(前から1番目)の5か所が多いです。
欠如歯の本数は1~2本というケースから、まれにですが10本以上欠如するケースもあります。

先天性欠如歯と分かった場合知っておくべきこと

先天性欠如歯と分かった場合知っておくべきこと

お子さんに先天性欠如歯があるとわかった場合は、できるだけ早めに歯科医に相談をして、治療の計画を立てることをおすすめします。
先天性欠如歯について知っておくべきことについて、お話していきましょう。

どのような影響があるのか

欠如歯があることで、どのような影響があるのか放っておくことで、どんな問題があるのかをお話していきます。
永久歯が先天的に欠如していると、乳歯が残ったままになることが多いです。

乳歯は永久歯に比べて長持ちさせることが難しく、成人するまでに抜けてしまう可能性も多いとされています。
乳歯が抜けたままにしていると、抜けた部分の両隣の歯が傾いてしまうのです。歯の傾きのせいで、歯並びが悪くなってしまいます。

また、抜けた歯の反対側の歯が、噛み合う相手がなくなります。
噛み合う相手がいないと、反対側の歯が伸びてきてしまうため、噛み合わせに問題がでてくる可能性も高いです。

放置するのは危険

放置するのは危険

先ほどお話した通り、欠如歯がある状態を放っておくと歯並びや噛み合わせに影響がでる可能性が高くなります。

歯並びの乱れや噛み合わせが悪い状態は、口の中だけではなく顎の骨や筋肉や、身体全体の健康にも影響がでてしまうことがあるのです。
お子さんの将来のことを考えて、先天性欠如歯がわかったら早めに対処ができるようにしてあげるようにしましょう。

早めに歯科医院で相談する

先天性欠如歯は、子供の場合はとくに今後の成長や発声・呼吸にも影響がでてくる可能性があります。

お子さんが先天性欠如歯と診断されたら、早めにかかりつけの歯科医に相談をしてください。かかりつけの歯科医がいると、歯の状態に問題がでた際に安心です。

欠如歯がある場合はとくに、定期的に歯の状態のチェックをしてもらい、適切な時期に必要な処置をしてもらえるようにしておきましょう。

先天性欠如歯の矯正費用

先天性欠如歯の矯正費用

先天性欠如歯の治療にかかる費用は、どの治療をするかによって変わります。先天性欠如歯での矯正の治療も同じです。
矯正治療は保険が効かず、自由診療になります。自由診療の治療費は医療機関ごとに設定ができるため、歯科医院によって金額が異なるのです。

子供の矯正治療の相場は、10~100万円。矯正の治療方法によっても金額が変わります。あらかじめ治療費の目安をみて、今後の治療計画を立てましょう。

ただ、先天性欠如歯の矯正治療は、欠如の歯の数が6本以上ある場合は保険が適用されます。先天性欠如歯と診断された場合は、本数を確認するとよいです。

ただ、治療の方法や治療に使う装置の素材によっては保険が適用されないため、歯科医で確認をしておきましょう。
また、先天性欠如歯の治療を保険の適用内で行う場合は、指定の歯科医でしかできないため、ご注意ください。

先天性欠如歯の矯正方法

先天性欠如歯の矯正方法

先天性欠如歯がある場合は、永久歯が生えそろってから矯正治療を行い、噛み合わせを安定させます。
先天性欠如歯の矯正方法を紹介します。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正はブラケットと呼ばれる装置を歯の表面に取り付けて、ワイヤーを通して歯に力をかけて動かす治療方法です。
ワイヤー矯正は、歯を動かす力が強いため、適応出来る症例が多くあります。ワイヤー矯正であれば、欠如した部分の隙間を閉じることが可能です。

歯列矯正をする際は歯を並べるスペースを作るために、抜歯をすることがありますが欠如歯の部分を利用することで抜歯の本数を減らすことができます。

マウスピース矯正

マウスピース矯正

透明で薄いプラスチックで作られた、マウスピース型の装置を歯に被せることで、歯並びを整える矯正治療になります。
マウスピースは透明で目立ちにくく、自分で取り外しができるため、食事の制限もなく歯を清潔に保つことができます

ただ、マウスピース矯正では、歯を大きく動かすことが難しいです。歯の状態によっては、適応が難しい可能性があります。
先天性欠如歯がある場合のマウスピース矯正は、ワイヤー矯正や、補綴治療と併用することも多いです。

マウスピースは取り外しができる分、患者さん本人の自己管理が必要になります。お子さんの場合は、親御さんの管理が必要です。
親御さんの管理とともに、お子さんも自覚をもってマウスピースを装着するように話をするようにしましょう。

お子さんの矯正治療についての相談は、矯正歯科の無料相談を活用してください。

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矯正以外の治療方法

矯正以外の治療方法

矯正以外の治療法は、歯の足りない箇所を補う補綴治療になります。補綴治療にはどんな治療があるのか、治療方法を紹介しましょう。

ブリッジ

ブリッジ

ブリッジは、歯が欠如している部分の両隣の歯を削って、それを支柱にして連結した人工の歯を取り付けます
ブリッジはセメントで固定するため、取り外しができません。固定されるぶん、安定しますし違和感も少ないです。

治療にかかる期間も短期間で済みます。
ただ、ブリッジを取り付ける際の両隣の歯は、健康な歯であっても削る必要があります。健康な歯を削ることで、その歯の寿命も短くなる可能性が高いです。

また、ブリッジを取り付けるのに問題がないか、見極めなければいけません。歯科医との相談の上、ブリッジで補綴治療をするか決めるようにしましょう。

インプラント

インプラントは、歯の欠如がある部分の顎の骨に、ネジを埋め込みます。ネジの上に人工の歯冠を取り付けて、欠如した歯を補う治療です。
歯を削って取り付けるブリッジと違って、他の歯にダメージを与えることなく治療ができます。

また、インプラントは顎の骨を土台としているため、普通の歯と同じ機能を持たせることが可能です。見た目も普通の歯と変わりません。
人工の歯のため、虫歯になることがないのもインプラントのメリットといえます。

ただし、顎の骨の状態によってはインプラントを埋め込むことができない可能性もあります。また、ある程度顎の骨が成長していないとできない治療です。
顎の骨の成長がしっかりする、16歳以上にならないとインプラントの治療はできません。

子供の矯正で悩みがあるなら歯科医に相談しよう

子供の矯正で悩みがあるなら歯科医に相談しよう

先天性欠如歯は放っておくと、歯並びや噛み合わせに問題がでる可能性があります。矯正治療をするにも、早めに対策をしておくことが大切です。
先天性欠如歯があると診断されたら、まずは、かかりつけの歯科医に、今後の治療について相談をしてください。

歯科医と相談の上、先天性欠如歯に対して、適切な治療を進めていくようにしましょう。
お子さんに先天性欠如歯があって矯正治療を検討しているなら、矯正歯科の矯正相談を活用してみることをおすすめします。

矯正歯科の無料相談は、WEBから予約が可能です。お子さんの矯正治療でお悩みの際は、相談に行ってみてください。

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まとめ

まとめ

10人に1人という割合で起こっているとされている、先天性欠如歯。
先天性欠如歯は、歯並びや噛み合わせに影響がでる可能性も高く、放っておくことにメリットはないです。

お子さんが先天性欠如歯と診断されても、どうしたらよいのか悩んでしまう親御さんも多いです。
適切な時期に、きちんと対策ができるように準備をしておくことで、お子さんが将来的に歯のことで悩むことも少なくなります。

先天性欠如歯と診断されたら、まずは、信頼できる歯科医を見つけてください。歯科医と相談のうえ、治療計画を立てていきましょう。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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