歯列矯正で犬歯が動かないケースを歯科医が解説|犬歯を動かす矯正の種類や動かないときの対処法もご紹介

【監修:青山健一】

歯列矯正で犬歯が動かないケースを歯科医が解説|犬歯を動かす矯正の種類や動かないときの対処法もご紹介

歯列矯正をしても、3ヵ月以上犬歯が動かないケースがあります。実は動かない歯がある事を矯正前に見つけるのは困難です。
矯正治療中に動かない歯を見つけたとき、担当の歯科医がその原因と対策を知っているかが重要になります。

患者さんご自身も、矯正治療をしても動かない歯はどのような歯か知っておきましょう。
さらに犬歯という歯の役割について、他の歯にはない大切な役割とはどんなものか理解しておくと矯正中の不安を取り除く事ができます。

歯列矯正で犬歯が動かないことがある?

歯列矯正で犬歯が動かないことがある?

歯列矯正は、永久歯が生えてきた際に重なり合って生えてきた歯やでこぼこになっている歯を矯正する事です。
近年ではマウスピース型の矯正装置での治療なども増えています。患者さんの歯の状態によって治療方法はさまざまです。

一方、矯正治療をしても稀に歯が動かない場合があります。矯正中に見つかる事が多く事前に調べる事が難しい例です。
人によってどの歯が動かないか異なりますが、犬歯と呼ばれる中心から3本目の歯が動かないケースを検証しましょう。

犬歯の概要

犬歯は「けんし」と読みます。永久歯で生えてくる歯で、上の歯に2本、下の歯に2本合計4本の犬歯が通常です。
前歯のような平たい形でもなく、奥歯のような臼の形でもありません。ドラキュラを思い出させる牙のような歯は、食べ物を引きちぎる役割をしています。

大人の永久歯は全部で32本ありますが、犬歯はできればあまり抜歯したくない歯の1つです。何故なら犬歯の役割は他にもあって全体の歯に影響しかねません。

犬歯の主な役割

犬歯の主な役割の1つが食べ物を引きちぎる事です。もう1つの役割は、噛み合わせたとき前歯と奥歯に過剰な圧力をかけないことです。
そして、上顎と下顎を支える役割も忘れてはいけません。
これら3つの役割は犬歯だけが担っています。従って犬歯はなるべく抜歯をしない歯として知られています。
犬歯を抜歯しなくてはいけない場合もありますが、非常に大切な歯ですから必ず理由を尋ねるようにしましょう。

犬歯に関係する不正咬合

2番目の役割であったように、前歯と奥歯に過剰な圧力がかからないように犬歯は存在します。
本来歯列が正常だと犬歯は他の歯と重なって生えてくることはありません。
しかし不正咬合になると歯にかかる圧力のバランスが崩れ、犬歯に負担が集中します。犬歯の生え方が曲がったり飛び出るのはそのためです。

犬歯は最後に生えてくる歯の1つで、他の歯で不正咬合が起こると影響を受けやすく曲がって生えたり歯列から逸脱します。
犬歯に関係する不正咬合でお悩みの方は、ぜひ無料の矯正相談を活用してください。下記のリンクからご予約いただけます。

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犬歯が動かないケースで考えられる原因

犬歯が動かないケースで考えられる原因

犬歯を含めた前歯を全体的に矯正する場合、犬歯だけが動かないというケースは珍しい事ではありません。
矯正装置やマウスピースをとりつけてから約2ヵ月から3ヵ月の間に、歯が動いていない事に気づいたら対応が必要です。
人によってケースはさまざまですが、下記のような原因によって動かない事があります。

アンキローシス

アンキローシス

アンキローシスとは英語でAnchylosisと書きます。この言葉は、強直(ごうちょく)や不動結合という意味です。
歯だけではなく、関節同士が結合する疾患にも「アンキローシス」が使われるため、骨と歯は密接な関係がある事を知っておきましょう。

歯科医院でいうアンキローシスは、歯を覆っている歯根膜と呼ばれる膜が破損し、歯と骨がくっついた状態を表します。
事前に確認する方法としては、レントゲンで膜の線がみえるかどうか、大きな事故で歯を打っていないかなどが関係しますが絶対そうだとはいえません。

痛みがあったり色が変わるならわかりやすいですが、見た目では全くわからないからです。インプラントも同じ方法で固定しています。
矯正中にアンキローシスが見つかった場合は、直ちに矯正治療の計画を修正しなくてはいけません。

でも、安心してください。アンキローシスが見つかる事よりも、その対処をいかに速やかに素早く行うかで結果は全く違ってきます。

スペース不足

スペース不足

犬歯が動かない理由でもう1つ考えられるのは、歯の大きさと顎の大きさによるスペース不足です。
犬歯は他の歯より歯根が長く、一番最後に生えてくる歯といわれています。

他の歯が生えそろった後、犬歯がやっと入るという歯間のない状態では犬歯は動きません。この場合、隙間をいかにして作るかが解決策になります。
犬歯をいかに残して歯列を矯正するかは、歯科医が考える点です。自分の歯を守るためにも安易に犬歯を抜く事がないようにしましょう。

舌癖や習慣による弊害

犬歯が動かない最後の理由は、舌癖や悪習慣が原因となる場合です。
これは、本人があまり気づいていない事も多く、意識的に直そうと思ってもなかなか変えられません。
犬歯は噛み合わせのバランスをとっています。口を閉じているとき、舌の位置が前にでてくる癖があると出っ歯になりやすいです。

出っ歯は本来の歯のスペースを斜めに占領するため、歯列が揃わず犬歯が動かない原因にもなってしまいます。
また片肘をついたり頬杖をつく習慣によって、歯に余計な負担がかかります。これらの理由により犬歯が動かない可能性は大きいです。

犬歯を動かす歯列矯正の種類

犬歯を動かす歯列矯正の種類

動かない犬歯を歯列矯正によって動かす場合、下記の方法が考えられます。大切なポイントは、歯科医の説明をよく聞いて判断する事です。
犬歯を歯列矯正する場合でも、犬歯のみの矯正もあれば犬歯も含めた上の歯全体の矯正というケースもあります。

ワイヤー・ブラケット矯正

ワイヤー・ブラケット矯正

ワイヤー・ブラケットで矯正する場合、ワイヤーが邪魔で犬歯の間の磨きのこしができてしまう事があります。
矯正中に虫歯になってしまうと、虫歯を治療しながらの矯正になるため、期間がどんどん延びてしまいます。ご注意ください。

ワイヤー・ブラケットは有効的な矯正方法の一つですが、犬歯の歯列矯正は簡単には動きそうにありません。ブラケットへの圧力は舌の位置が関係するからです。
姿勢が悪いなどの習慣もしっかりと正さないとせっかく矯正しても元に戻ってしまうこともあります。悪い習慣は、一緒に直すようにしましょう。

マウスピース矯正

マウスピース矯正

マウスピース矯正は、犬歯を含む全体の歯列矯正をするのにとてもよい矯正治療です。
犬歯は顎の骨と筋肉をつなげる大切な役割をしています。マウスピースは全体的な矯正をかけていくため顎や骨の負担が少なく、時間はかかりますが担当医のいう事をきちんと守りながら治療すれば大丈夫です。
犬歯の動かない原因によっては異なる方法を勧められることもあります。理由をよく聞いて納得したうえで矯正を始めましょう。

部分矯正

犬歯を動かす部分矯正をする場合、歯の状況によってスペースを作る必要があります。犬歯のまわり6本から8本、またはそれ以上の矯正が一般的です。
あくまで1つの選択肢ですから、メリットデメリットがあります。ご自身の歯の状況によって最適な方法を選ぶために理解しておきましょう。

抜歯しない部分矯正と抜歯を伴う部分矯正があります。どちらも歯の状況によって最適な方法を選ぶためには歯科医の説明をよく聞くことです。
審美的な理由で犬歯を部分矯正をする方もいますが、抜歯に関しては歯の役割についてよく理解してから決めてください。

犬歯が動かないと歯列矯正は進まない?

犬歯が動かないと歯列矯正は進まない?

犬歯が動かない、または他の歯でも一つでも動かない歯があれば歯列矯正は進まないため、他の矯正計画を立てます。
歯が動かない期間は、矯正装置を取り付け始めてから2~3ヵ月してもまったく動かない場合です。

歯の動くスピードは個人差がありますから必ずとは断言しきれませんが、目安として考えてください。心配な場合はいつでも歯科医に相談しましょう。
歯の写真や型をとるなど方法はいろいろあるため定期的に経過をチェックするべきです。個人の判断で矯正をやめるのはおすすめできません。

犬歯が動かないときの対処法

犬歯が動かないときの対処法

犬歯が動かないときの対処法はいくつかあります。歯の状況に応じて歯科医と話し合いながら新たな矯正計画を立てていきましょう。
セカンドオピニオンや専門家の無料相談などを利用し、ご自身の不安をとりのぞく事が治療の成功への近道です。

補助装置の併用

補助装置とは、矯正器具を使いながらさらに歯に圧をかけたい場合に追加する装置の事です。
歯が動かないからといって絶対アンキローシスだとは限りません。歯列によってその歯の圧力が弱まっている場合は補助装置を利用します。

矯正治療で頻繁に使われるのが、ワイヤー・ブラケット矯正で使う顎間ゴムです。上下の噛み合わせを調整するのに使用します。
その他にもインビザラインの補助装置などもあります。ご不明な点はいつでも歯科医にお問合せください。

抜歯矯正

抜歯矯正

犬歯が動かない場合の対処方法として、他の歯を抜歯してスペースを作る方法があります。
犬歯自体は他の歯よりも重要な役割があるため、抜歯はよほどの理由がない限り避けたい歯です。その代りに影響が少ない歯を選びます。

あくまで矯正が進まない場合の一つの選択肢ですが、親知らずを含めた32本の歯にはすべて意味があります。選択肢を幾つか考えて決断しましょう。
抜歯を含め、歯列矯正で気になることや不安なことがあれば無料の矯正相談をご活用ください。下記のリンクからご予約いただけます。

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アンキローシスの場合はどのように対処する?

アンキローシスの場合はどのように対処する?

アンキローシスは歯と歯槽骨の間にある歯根膜が破損し、骨と歯がくっついている状態です。
しかし、一言でアンキローシスといってもさまざまな程度が存在します。レントゲンをとれば、どの程度の結合か予測可能です。

アンキローシスの状態だと、犬歯はもちろん他の歯でも矯正治療で動かす事ができません。そのため、一度くっついた歯を切り離す必要があります。
犬歯自体がアンキローシスの場合、状態によっては歯列矯正以上に周りの歯や骨の影響なども考慮しなくてはいけません。

抜けた歯は元には戻らないため補綴治療というインプラントや入れ歯をしてその役割を担います。
何を優先とするのか、今一度よく考えて歯科医とよく相談しながら決めていきましょう。

犬歯や歯列矯正の不安は信頼できる歯科医に相談

犬歯や歯列矯正の不安は信頼できる歯科医に相談

犬歯の役割や歯列矯正への影響について、情報を集めると不安になることもあります。しかし大事なのは正しい知識と信頼できる歯科医選びです。
インターネットでいろいろな情報が手に入る時代ですから、情報が多すぎてどれを選んだらよいかわからなくなってしまう人もいます。

そんなときは、一人で悩まないでまず相談相手を見つけてください。特に犬歯に関する矯正治療は歯科医でもいろいろ見解が分かれます。
患者さんとの相性もありますから、話してみて心地よい感覚を持てるようなら少しずついろいろな話を聞いてみましょう。

もちろん治療中でも説明が必要と感じた場合は、遠慮せずお問合せください。矯正治療は患者さんと歯科医の二人三脚で行います。
不安はストレスホルモンを分泌させ、感覚が敏感になります。歯列矯正を成功させるには不安を取り除くことが大切です。
怖がらずに担当医とよく話し合って解決していきましょう。

まとめ

まとめ

犬歯が何故4本生えているか、その役割と重要性が理解頂けたかと思います。
昔はチャームポイントにもなっていた八重歯ですが、実は犬歯が他の歯に重なって生えてきた状態です。
犬歯が正常な歯列に存在すると舌の位置が正しくおかれます。その結果発音がしやすくなったり、口をあけやすくなるなど全体の顔のバランスが改善します。

歯列矯正で犬歯がうごかない場合、歯科医が未然に防ぐ事は非常に難しいです。その代わり正しい知識と素早い対処ができれば悩みは解決します。
過剰に不安を感じる事はありません。頻繁に歯科医と相談しながら、一緒にきれいな歯を作っていきましょう。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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