【監修:青山健一】
目 次
ワイヤーによる矯正とは違って目立ちにくいインビザライン矯正は、大人が選択する場合も多い矯正治療方法です。
弾力性を有する透明なプラスチックでできたマウスピース型の装置「アライナー」を口腔内に装着するため、ある程度の自己管理能力が必要とされます。
社会人にとっては歓迎会や送別会、忘年会など、お酒の席もつきものです。
今回は、インビザライン矯正中にお酒を飲む機会がある人の疑問にお答えしていきます。
インビザライン矯正中にお酒は飲めるのか
結論からいうと、インビザライン矯正中にお酒を飲むことに問題はありません。
ですが、お酒を飲む際には食事のときと同様に必ずマウスピースを外すことを忘れないでください。
マウスピースを装着したまま飲み会などに参加すると、後述するようなトラブルが起こりやすくなります。
また酔ってしまってマウスピースを外したまま寝たりすると、1日20時間以上の使用を推奨されている矯正治療の妨げにもなりかねません。
お酒だけではなく、インビザライン矯正中にはさまざまな飲み物に注意する必要があります。
飲み物によるインビザラインのトラブル
インビザライン矯正中には、食事の際には必ずマウスピースを外すように医師から指導されます。
マウスピースを装着したままでの食事は、マウスピースの変形や破損の原因になるからです。
またマウスピースを外さないままで食事をすると、食べ物が付着してマウスピースが汚れたり、マウスピースに色がついたりします。
食べ物ではなく飲み物なら大丈夫というわけではありません。飲み物も同じようなトラブルの原因になるのです。
マウスピースの着色
ブラックコーヒーや無糖の紅茶など糖分が含まれていない飲み物は、虫歯の原因にはなりにくいためマウスピースを装着したまま飲んでも良さそうに思われるかもしれません。
しかし、コーヒーや紅茶などに含まれる色素はマウスピースの着色の原因になります。
マウスピースの清潔度は使用継続率に大きく影響します。汚れたマウスピースでは装着しようという意欲が減退してしまうのです。
矯正治療の効果を上げるためにも、常にマウスピースを美しく清潔に保つことが必要です。
マウスピースの変形
マウスピースを装着したまま熱い飲み物を飲むことも避けてください。
インビザライン矯正で使用するマウスピースはプラスチックで作られているため、60℃以上の温度になると変形する可能性があります。
変形したマウスピースを使用すると、矯正治療の効果が上がらないなどの悪影響を与えてしまうことがあるのです。
さらにマウスピースが大きく変形してしまった場合は作り直さなくてはならないため、余計な費用がかかることになりかねません。
虫歯
マウスピースを装着したままで糖分が含まれた飲み物を飲むのは厳禁です。
マウスピースはずっと歯に触れています。その隙間から入った糖分がずっと停滞した状態になり、通常時よりも虫歯になりやすくなってしまうのです。
矯正中に虫歯になると、その治療によって矯正計画に狂いが生じることがあります。
もし被せ物が必要になるほどの虫歯になった場合は、マウスピースの型が合わなくなってしまうために作り直さなければなりません。
インビザラインで注意すべき飲み物
インビザライン矯正で装着するマウスピースは、飲み物の影響を受けやすいという特徴があります。
水であれば気にせずに装着しながら飲んでよいのですが、ここでは特に避けるべき飲み物について解説します。
濃い色の飲み物
マウスピース装着時には、お茶やコーヒー、赤ワインなどの濃い色の飲み物は避けましょう。
装着したままで飲むと、これらの飲み物に含まれているタンニンやポリフェノールなどの影響でマウスピースが変色してしまいます。
マウスピースの素材に使用されているプラスチックはとても変色しやすいのです。
また濃い色の飲み物が歯とマウスピースの隙間に入り込むと、歯そのものに色がついてしまう恐れもあります。
糖分を多く含む飲み物
前述のように、マウスピースを装着して糖分が含まれた飲み物を飲むと虫歯のリスクが高くなります。
特に注意したいのはスポーツドリンクです。
スポーツドリンクには糖分のほかにクエン酸やアミノ酸などの酸が含まれており、これに歯が触れたままの状態になると虫歯になりやすくなるのです。
糖分とは無縁のようなお酒の中にも、実は糖分が含まれているものもあります。下記のアルコール類には糖分が含まれているため要注意です。
- ビール
- 日本酒
- 梅酒
- カクテル
- ワイン
熱い飲み物
長時間にわたって口中に装着するインビザライン矯正のマウスピースは、当たりがソフトなプラスチック素材で作られています。
柔らかいため、装着時に高温の飲み物を摂取すると簡単に変形してしまうのです。
熱いコーヒーや紅茶などはマウスピースの着色を防ぐ意味からも避けなければなりませんが、白湯を飲む際も人肌程度に冷ましましょう。
また、熱い飲み物がマウスピースの隙間から入りこむことで歯茎を火傷してしまうケースもあります。
熱い飲み物はマウスピースを外した食事のときだけ、とあらかじめ決めておきましょう。
インビザライン矯正中の飲食にまつわる注意点
インビザライン矯正とは、アライナーと呼ばれる専用のマウスピースを1日に20時間以上装着して、時間をかけて歯を動かしていくものです。
ここでは、矯正中の飲食で気をつけたいポイントについて解説していきます。
インビザラインでの矯正治療に特有の注意点など、しっかりと理解しておきましょう。
また矯正中は歯の周辺の唾液の循環が弱くなるため、食べ物のカスが口の中に残りやすい環境になりがちです。
飲食の後は歯磨きなどのケアを丁寧に行いましょう。
飲食時はマウスピースを外す
装着したマウスピースは、飲食時にはできるだけ外してください。
インビザライン矯正治療で使うマウスピースはとても薄いため、ものを噛む際の摩擦や衝撃で破損する可能性があるからです。
マウスピースが少しでも破損すると歯が当初の計画通りに動かなくなってしまいます。
最初は面倒に感じると思いますが、慣れてくると数秒でマウスピースの着脱ができるようになります。
ガムやアメなどもマウスピースを装着したままで口にするのはやめましょう。糖分を多く含む飲み物と同様に虫歯の原因になるため、マウスピースを外してから食べることをおすすめします。
水と白湯は飲んでもよい
マウスピースを装着したまま飲んでもよいのは水か白湯のみです。
水には糖分も含まれずpHも口中と同じ中性ですから、装着したままで安心して摂取できます。
白湯の場合、熱いとマウスピースの変形の原因になります。人肌程度に冷ましてから飲むようにしてください。
フルーツなどの風味がついているフレーバーウォーターには糖分が含まれる場合があるため、できればマウスピースを外してから飲む方が無難です。
また無糖の炭酸水は酸性のため、装着したままの摂取はあまりおすすめできません。
外したらケースに入れておく
飲み会が始まる前にマウスピースを取り外して専用のケースに入れておきましょう。
お酒が入るとマウスピースの取り扱いが雑になりがちですし、テーブルの上に置いたままだと何かの拍子に破損することも少なくありません。
また、酔ってしまうとケースごとマウスピースを紛失してしまうこともあります。
外出時に専用のケースに入れたマウスピースは、バッグやポケットなどの決まった場所にしまうような癖をつけておくと安心です。
お酒の席での対処法
インビザライン矯正中に、予定外の飲み会に参加することになるような場合も想定されます。
事前に飲み会の予定がわかっていれば、マウスピースを取り外して専用のケースにしまってから楽しめますが、急に決まったときには対応が難しくなってしまいます。
突然の飲み会などにも対応できるように、マウスピースのケースは必ず持ち歩くようにしましょう。
糖分の少ないお酒を選ぶ
糖分の少ないアルコールとして挙げられるのが蒸留酒です。
蒸留酒とは、醸造酒を加熱した蒸気を冷やすことによりアルコール分などを液体にして集めたものです。
したがって蒸留酒は一般的にアルコール濃度が高くなります。
- ウイスキー
- ブランデー
- ウォッカ
- ジン
- 甲類焼酎
飲み会の席でこのように糖分の少ないお酒を選ぶことで、マウスピース装置時の虫歯のリスクを減らせます。
飲み会での食事メニューにも注意を
飲み会に限らず、インビザライン矯正中には注意が必要な食べ物があります。
- せんべい
- ナッツ類
- リンゴや梨のような硬い果物
- 硬い肉類
- 無意識に噛んでしまいがちな氷やアメ
- 大きいドライフルーツ
上記のような硬い食べ物はなるべく避けるようにしてください。
特にインビザラインを始めたばかりのときやマウスピースを交換したばかりのときは、歯の動きが不安定な状態なため、硬いものを噛むと痛みが出やすくなります。
口をゆすいでから装着する
飲み会で食事や飲酒を楽しんだ後には、口をキレイにゆすいでからマウスピースを再装着してください。
できれば歯みがきをして口中を清潔にした後で再装着するのがベストですが、難しい場合は口をよくゆすいで食べかすや汚れを取り除きましょう。
その際にはマウスピースも流水で洗い流してキレイにするのがポイントです。
口中とマウスピースのどちらも清潔に保つことで、虫歯やマウスピースの着色などのリスクが防げます。
帰宅後は早めに歯磨きする
口をゆすいでからマウスピースを装着したときは、帰宅したらなるべく早めに歯磨きをして、口の中を清潔にしてからあらためてマウスピースを装着してください。
飲み会ではあまり飲みすぎないように気をつけることも大事です。
あまりに酔ってしまうと、マウスピースを外す→歯磨きをする→マウスピースを装着する、という一連の作業ができなくなる恐れがあります。
インビザライン矯正中は口腔内の清潔も気にかけよう
インビザライン矯正中は、通常よりもしっかりと丁寧に歯磨きをすることが大事です。
マウスピースを使った矯正のデメリットの1つである口臭の原因は、口腔内の汚れや雑菌の影響によるものが大半です。
常にマウスピースをつけた状態になるため唾液が不足しやすく、それが虫歯や口臭の原因にもなってしまいます。
マウスピースを外して食事をした後には、必ず歯磨きをする必要があるため、早い段階で正しいブラッシング方法を身につけておきましょう。
丁寧な歯磨きに自信のない方は、歯科医院に相談してみてください。下記の無料相談を利用するのもおすすめです。
インビザライン矯正中の飲食が不安なら
インビザライン矯正中に、食事や飲み会に出かけることを不安に思う方もいると思います。
しかし、いくつかのポイントに注意するだけで、飲食を心置きなく楽しむことができるのです。
またどんなに気を付けていても、矯正治療期間中の食事の際には痛みを感じてしまうことがあります。
これはあくまで一時的なものですし、矯正が進むうちに痛みも徐々に軽減していきます。
だんだん歯が動いて歯並びがキレイに整ってくる様子を見ると、マウスピースの煩わしさや一時的な歯の痛みも気にならなくなるものです。
心配なことがあれば治療開始前に歯科医に相談できる下記の「無料相談」も参考にしてみてください。
まとめ
インビザライン矯正中でも飲み会に参加することは可能です。しかし、注意しなければならないポイントがあることを忘れないようにしてください。
マウスピースを装着したままの飲食はマウスピースの破損の原因になるため、飲み会が始まる前に必ず専用のケースにしまうことが第一です。
また、矯正治療中は歯や歯を支えている骨がダメージを受けやすいため、飲み会での硬い食べ物やおつまみにも気をつけてください。
インビザライン矯正中はマウスピースを正しく使用して、飲み会を楽しみながら理想の歯並びを目指しましょう。