口呼吸と歯並びの関係を歯科医が解説|口呼吸が原因で起こる歯並びや治療方法もご紹介します

【監修:青山健一】

口呼吸と歯並びの関係を歯科医が解説|口呼吸が原因で起こる歯並びや治療方法もご紹介します

普段どのように呼吸をするか意識をすることは少ないと思います。
しかし、鼻呼吸と口呼吸では身体に与える影響は大きく違い、口呼吸はさまざまな悪影響があるのです。
今回は口呼吸と歯並びの関係について解説していきます。
口呼吸が原因で起こる歯並びや治療方法についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

口呼吸と歯並びは関係している?

口呼吸と歯並びは関係している?

鼻呼吸と口呼吸ではあまり変わらないように思う方も多いでしょうが、口呼吸はさまざまな弊害を引き起こします。
その1つとして歯並びに悪影響を及ぼす可能性があるのです。

鼻呼吸を行い舌が正しい場所に置いていれば、上あご前方にあるスポットポジションと呼ばれる箇所におさまります。
ここに舌を置いておくと口の中から上あごに自然な力がかかり歯列のアーチを広げることができるのです。

また、鼻呼吸をしている時は口を閉じているため口の周りの筋肉によって、口の外側からも自然な力が加わります。
口の内側と外側から力が程よくかかることでバランスが取れて歯並びを正しく整えることができるのです。
これが口呼吸をしてしまうと、舌が上あごについていると呼吸がしづらいため舌は自然と低い位置に置かれます。

その際に舌が直接歯に接していると口の内側からの力が強くかかりすぎて、口の外側の力とのバランスが崩れやすくなるのです。
内側からの力が強すぎると下あごが突出した受け口や八重歯などの叢生の原因にもなってしまいます。

口呼吸が原因で起こる歯並び

口呼吸が原因で起こる歯並び

口呼吸が原因で起こる歯並びについて解説していきます。

開咬

開咬とは歯を噛み合わせた時に前歯の部分で上下に隙間ができてしまう歯並びのことです。
意識をして口を閉じようとしても間に指や舌がはさまるほどの隙間ができるため食べ物を噛み切りづらくなってしまいます。

また、前歯に隙間ができるだけでなく常に口が開いている状態になるため口呼吸になることが多いことも特徴の1つです。
開咬の原因は幼い頃の指しゃぶりや口呼吸などの舌癖により引き起こされます。
この舌の動きにより通常よりも歯列に強い力が加わってしまうため、歯の生え方に悪影響を与えてしまうのです。

前歯の噛み合わせが悪いことで食べ物を噛んだ時に力がうまく分散されず奥歯に過剰な負担がかかってしまいます。
そうすることで歯の劣化が早まり将来的には歯を失う可能性にもつながるのです。

上顎前突

上顎前突は上あごが突き出ている状態で出っ歯とも呼ばれるものです。
飛び出した前歯により口が閉じづらくなり口呼吸になりやすくなってしまいます。
上額前突の原因は遺伝的要因などで上あごが大きかったり、下あごが小さかったりすることで引き起こされるものです。

また、幼少期の癖で前歯が舌で押し出されるようになる指しゃぶりや爪を噛むことなども原因となります。
見た目の影響も大きく、口を開けて笑うと前歯の歯茎まで見えて目立ってしまうのです。
また、歯の隙間から息が漏れてしまうことでサ行の発音が不明瞭になるなど滑舌にも悪影響を与えます。

反対咬合

反対咬合は正しい噛み合わせと逆になっている状態であり、下の前歯が前に飛び出している歯並びです。
一般的には受け口とも呼ばれ、上額前突とは逆の状態で下あごが突き出ている状態です。
下あごが上あごより大きく発達することや、下の前歯の生える向きが異なることなどが原因になります。

上顎前突同様に幼少期の指しゃぶりなどの癖により歯列が押し出されて下の前歯が突き出た状態になってしまうのです。

本来の噛み合わせと逆になっているため食べ物をしっかりと噛むことができず、歯を支えるあごの骨にも過剰な負荷が掛かります。
そのため、見た目の問題だけでなく負荷が過剰にかかることで歯の寿命を縮めてしまうリスクがあるのです。

口呼吸の原因

口呼吸の原因

口呼吸となる原因について解説していきましょう。

筋力不足

口呼吸は口の周りの筋肉の筋力不足が原因となる場合があります。
口の周りには口輪筋と呼ばれる筋肉があり唇を動かすのに使用されますが年齢と共に衰え筋力が低下するのです。

口輪筋の衰えにより物を飲み込みづらくなったり発音がしづらくなったりするのに加え、口をしっかり閉じていられなくなります。
そのため口が開いたままになり口呼吸をしやすくなるのです。
男性では60歳前後、女性では70歳前後から著しく口輪筋の筋力が低下しやすくなります。

鼻炎

鼻炎

口呼吸は鼻炎が影響する場合もあります。
アレルギー性鼻炎など慢性的に鼻炎で鼻が詰まっていると鼻で呼吸ができず、自然と口呼吸になってしまうのです。

鼻呼吸をすることによって取り込む空気の湿度を調節したり鼻の粘膜でホコリや細菌を防いだりしています。
それが口呼吸になってしまうと細菌の侵入を防ぎづらくなり口内も乾燥しやすくなることにより感染症にかかるリスクが高まるのです。

幼少期からの癖

口呼吸は骨格など先天的なものにより歯並びが不揃いになり引き起こされるものもあります。
しかし、骨格に問題がない場合でも幼少期からの癖が原因となり日常的に口呼吸をするようになる場合もあるのです。

指しゃぶり爪を噛む癖があると通常よりも強い力で口の中から歯列を押し出してしまい不揃いな歯並びになる原因となります。
また、母乳ではなく簡単に飲める哺乳瓶でミルクを飲ませていると口の筋力が鍛えられず口呼吸になる可能性があるのです。

姿勢も呼吸法に影響を与える場合があり、猫背などで前かがみになっていると空気の通り道が狭く呼吸が浅くなります。
その状態でたくさん息を吸おうとすると口呼吸になりやすくなるのです。

口呼吸を放置するリスク

口呼吸を放置するリスク

口呼吸を放置するリスクについて解説します。

口腔内の乾燥

口呼吸が癖づいてしまうと口を開けている時間が長くなり口腔内が乾燥しやすくなります。
本来鼻呼吸をすることによって、鼻の粘膜を使って細菌やウイルスの侵入を防いでいるのです。
しかし、口呼吸で口から空気を吸い込んでしまうと鼻と違って細菌の侵入を防ぐ機能が弱いため感染症にかかるリスクが高まります。

また、口呼吸を行い口腔内が乾燥すると唾液の分泌が少なくなってしまいます。
唾液は自浄作用があり口の中にある無数の細菌から守る力があるのです。
口呼吸により細菌やウイルスを取り込みやすくなるだけでなく、唾液が減ることで口腔内の細菌が繁殖しやすくなり免疫力が低下します。

口臭

口呼吸で口腔内が乾燥し細菌が繁殖すると口臭の原因にもなります。
口の中は唾液による自浄作用と抗菌作用によって衛生状態を維持しているのです。
口内が乾燥し唾液の分泌が抑えられてしまうと口内の衛生状態は悪化し虫歯菌や歯周病菌が繁殖しやすくなります。
これらの菌の繁殖が口臭の原因となってしまうのです。

虫歯・歯周病

虫歯・歯周病

口呼吸は口の中に菌が繁殖しやすい環境を作り虫歯や歯周病を引き起こす原因となります。
口の中の唾液には口腔内のphを調節する機能があり、虫歯菌が出すの力を抑える働きがあるのです。
虫歯菌の酸は非常に強力であり歯を溶かしてしまい、歯の表面に穴を開けて虫歯を作ります。

また、虫歯菌によって歯に穴が開いてしまうと自力で修復することはできず歯科医でプラスチック等を詰めるなどの方法しかありません。
ただし、穴を開けられる前の歯が脆くなっているような段階であれば唾液内のミネラルによって歯を補修することができます。
口腔内が乾燥し唾液の分泌が抑えられると、こうした働きができず虫歯や歯周病のリスクを高めてしまうのです。

歯並びを治療すると口呼吸も治る?

歯並びを治療すると口呼吸も治る?

不揃いな歯並びを治療することは口呼吸を改善させる効果的な方法の1つです。
開咬や上顎前突などの不揃いな歯並びは口が閉じづらい原因となり結果的に口呼吸を引き起こします。
口呼吸が癖になっていて無意識のうちに口が開いてしまうようであれば、口を閉じるように意識することで改善可能です。

しかし、歯並びが原因となっている場合では物理的に口を閉じることが難しく、無理をしないと口を閉じることができません。
歯並びを治療し歯列が正しい状態になれば口が自然と開いてしまうような状態が改善されるのです。

口呼吸を治す方法は?

口呼吸を治す方法は?

口呼吸を治す方法についてご紹介します。

あいうべ体操

あいうべ体操は口呼吸を鼻呼吸へと改善させるための口の体操です。
次の4つの動作を順に繰り返すことで口周りの筋肉や舌の力がついて口呼吸の改善につながります。

  • 「あー」と口を大きく開けて1秒キープする
  • 「いー」と口を横に広げて1秒キープする
  • 「うー」と口を大きく前に突き出して1秒キープする
  • 「べー」とあごの先に向かうようにして舌を伸ばし1秒キープする

この4つの動作を10回1セットとして、1日3セットを目安に続けることで口周りの筋肉全体を鍛えることができます。

ポッピング

ポッピングは舌を上に持ち上げることで、舌の筋力を鍛えるトレーニングです。
舌先を上あごの前歯の付け根付近の正しい位置に当てた状態で下全体を上あごに吸い付けるようにします。
その状態で口を大きく開けて舌の裏側のスジである舌小帯をできるだけ伸ばします。
そして舌で上あごをはじくようにしてポンと音を立てるようにする動作がポッピングのトレーニング法です。
この動作を10回程度を目安にして行います。

口テープ

口呼吸は睡眠時にも無意識的に行っている場合もあります。
口を開けて寝てしまうと舌の付け根が落ち込むことで空気の通り道が狭くなりいびきが発生しやすくなるのです。
いびきをかいている状態では熟睡できず疲労が抜けづらくなり口内も乾燥してしまいます。

これを防ぐために使われるのが口テープです。
口テープは寝ている間に口を開かないように口にテープを貼って固定します。
口を強制的に閉じると呼吸が苦しくなることも考えられますが、そうした場合にはすぐに自分で剥がすことが可能です。
ただし、呼吸をしようとする口の動きだけでは?がれないようになっているため口呼吸を防ぐことができます。

口呼吸や歯並びのお悩みは歯科医に相談

口呼吸や歯並びのお悩みは歯科医に相談

口呼吸の原因が自分で分かっていて、自身が気を付けることで口を閉じることができれば問題ありません。
しかし、上顎前突などの歯並びにより口が閉じづらくなる場合もあるのです。
口呼吸を防ぐ方法や口が開く原因となる不揃いな歯並びに悩みがある場合には歯科医に相談することをおすすめします。

骨格などが影響して口が開いてしまっている場合では自力で改善させることは困難です。
そうした場合には歯列矯正で歯並びを治すことが口呼吸を防ぐ有効な手段となります。
また、歯列矯正以外にも歯科医の専門知識を使い改善方法をアドバイスすることが可能です。

まとめ

まとめ

口呼吸は鼻で呼吸をする代わりに口から呼吸することにより口腔内を乾燥させやすくなってしまいます。
口の中が乾燥すると細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病などのリスクが高まるのです。

また、鼻呼吸では鼻の粘膜を使って外からのウイルスの侵入を防げますが口呼吸では防げず感染症にかかりやすくなります。
口呼吸を防ぐにはその原因となる歯並びを改善させることなどが必要です。

歯並びを改善させることで口呼吸を防ぎ虫歯などの予防にもつながるため、悩みがあれば歯科医に相談することをおすすめします。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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