矯正中に歯がぐらぐらする仕組みを歯科医が解説|歯の動揺の原因や注意点もご紹介します

【監修:青山健一】

矯正中に歯がぐらぐらする仕組みを歯科医が解説|歯の動揺の原因や注意点もご紹介します

歯列矯正を行うと歯がぐらぐらして不安を感じる人は少なくありません。しかし、ぐらぐらしていることは必ずしも悪いことではないです。
しっかりと歯の動揺の仕組みや原因を理解することでむやみに不安を感じる必要はなくなります。
今回は矯正中の歯のぐらぐらする仕組みや原因について解説していきます。心当たりがある人は参考にして自身の治療に活かしてください。

矯正中に歯がぐらぐらして不安になる人は多い

矯正中に歯がぐらぐらして不安になる人は多い

歯列矯正中に歯がぐらぐらすることを専門用語で「動揺」と呼んでいます。今までぐらぐらしていなかった歯が矯正治療を始めた途端に今までなかった症状が現れると不安を感じるかもしれません。
歯列矯正中の相談で最も多くされるのが「痛み」に関することですが、それ以外で多いのが「動揺」についての相談です。

特に歯列矯正を行っていると動きやすくなっているため、歯が動揺を起こすため「歯が抜け落ちてしまわないか」と心配になると思います。
そこで矯正治療中の動揺の仕組みについて紹介をします。

矯正中に歯がぐらぐらする仕組み

矯正中に歯がぐらぐらする仕組み

矯正治療はどちらか一方向に力を加えることで、歯を動かして歯並びを整えていく治療です。
そのため、力が加わる側の歯根膜は圧縮されて薄くなり逆に力が加わらない側は引っ張られることで厚くなっていきます。

そうなると力が加わる側は「破骨細胞」という細胞が活発になり骨を少しずつ溶かしていき、逆側では「骨芽細胞」という細胞が活発になり反対側に骨を作っていきます。
これを繰り返して矯正治療は進められていきますがこのように歯が動いていく過程で起きるのが「動揺」です。
但し、これは一時的なもののため、歯を動かすのが終わって落ち着けば治まります。

歯の動揺が起こる原因

歯の動揺が起こる原因

歯の動揺は様々な原因で起きています。一般的に歯がぐらぐらするといえば矯正治療よりも歯周病を疑う人が多いです。
歯周病とは、口腔内にプラークが溜まり歯周病菌によって歯茎や顎の骨などの歯周組織に炎症を起こしてしまう感染症です。

炎症を起こすといずれは顎の骨にまで到達してしまい、顎の骨が炎症によって溶かされて最終的には動揺に繋がってしまいます。
このように歯の動揺の原因は1つではありません。ここではそれ以外の動揺の原因について紹介していきます。

治療によって歯が動いている

治療によって歯が動いている

矯正治療は歯を動かして治療を進めていきます。歯が動いてぐらぐらすることは矯正治療においては大事な工程の1つです
動揺しているということは矯正治療が順調に進んでいる証拠でもあるため、基本的には心配ありません。

矯正装置によって歯根膜には一定の力がかかっています。それにより、歯根膜が活性化して歯を支えている歯茎や骨などの組織が変わり、歯が動いていくという仕組みです。
そのため、歯がぐらぐらして不安に感じることもありますが、基本的には歯が抜ける心配はありません。

生理的動揺

健康的な歯であっても微妙なぐらつきは起きていますこれを「生理的動揺」と呼び、歯の機能には何の問題もなく使用できますし、ほんの僅かなもののため気が付かない場合もあります。
これは歯根と歯槽骨の間には幅0.25㎜程度の歯根膜というコラーゲン繊維の組織が存在しており、これで歯と骨をつなげていますが歯根膜は柔らかいためその分だけ歯がぐらつくというわけです。

しかし、生理的動揺は生活には何の影響もありません。もし気になるほどのぐらつきや痛みがある場合は違う要因が考えられるため、歯科医に相談をしましょう。

歯周病に侵されている

歯の動揺で大きな原因として挙げられるのが歯周病です。歯周病が進行すると炎症が歯茎だけでなく骨にまで影響してきます。
骨に影響がでてくると動揺が起き、最悪の場合には抜歯をしなくてはならなくなってしまいます。

歯周病が進行すると歯茎が下がってきて歯が長くなったり出っ歯になったように感じ、さらには食べ物もつまりやすいです。
その状態を放置しておくと動揺が起きて噛んだときに痛みを伴います。歯周病を予防するためには日頃のケアが重要ですがさらに定期健診も受けて予防を心がけましょう。

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マウスピース矯正で歯がぐらぐらする理由

マウスピース矯正で歯がぐらぐらする理由

歯列矯正でワイヤー・ブラケット矯正と並んで代表的な治療法がマウスピース矯正になります。矯正治療はこれらの装置を装着して時間を掛けて歯を動かしていく治療法です。
矯正治療の過程で歯がぐらぐらしてしまうことがありますがマウスピース矯正のほうが動揺に対する相談が多く寄せられることがあります

結論から申し上げますとマウスピース矯正だけが特別動揺が起きるというわけではありません。マウスピース矯正は治療法の特性から動揺が大きく感じとれる瞬間があります。
ここではマウスピース矯正が動揺しやすく感じる理由について紹介していきます。

マウスピースを外すと支えがなくなる

マウスピース矯正の最大の特徴は治療中に任意で取り外しができるという点です。そのため、食事中やケアのときに取り外した際に歯の動揺を感じてしまいます。
マウスピース矯正はマウスピースで支えているため、マウスピースを取り外している時間が長くなればなるほど支えがなくなり歯は元の位置に戻ろうとします。

これを「後戻り」と呼び、歯の動揺を気にしてマウスピースの装着を控えてしまうと逆効果になる場合が多くあるため、気になる場合は自身で判断せず早めに歯科医に相談をして対応を検討しましょう。

ワイヤー矯正は常に支えがある状態

ワイヤー矯正は常に支えがある状態

マウスピース矯正に対してワイヤー矯正は常にワイヤーで歯を支えているため、装置が壊れたり外れたりしない限りは「後戻り」は起きず動揺を感じる機会は少ないです。
しかし、ワイヤーを調整する際に通常より強い力を加えてしまうと歯茎の炎症が起きたり歯根吸収が起きたり、最悪の場合歯の神経が死んでしまうため注意をしなければなりません。

矯正中の歯のぐらつきはある程度仕方のないことですがあまりにも痛みがあったり動揺が大きい場合には早めに歯科医に相談をして診察をしてもらいましょう。

歯がぐらぐらするときの注意点

歯がぐらぐらするときの注意点

前述で紹介しているとおり、矯正は歯を動かして治療を進めていきます。そのため、矯正中は実際に歯が揺れることもありますが指や舌でぐらつきを確認しようとして力を加えるのは控えましょう
また、基本的に抜けるようなことはないため心配はいりませんが、それでも固いものや歯にくっつくような食べ物は食べないようにしてください。

極端に歯がぐらついたり痛みがあるような場合は歯周病などのほかの要因も考えられるため、歯科医に相談をして状態を確認してもらいましょう。

歯に強い力をかけない

歯を早く動かしたいと思って強い力をかけようと考える人もいますが逆効果になるため、止めましょう。
力を強くかけ過ぎると歯の動きはむしろ遅くなりさらに歯根が極端に短くなってしまい、最悪の場合は歯の神経が死んでしまいます
さらに頭痛の原因になったりとメリットはほとんどないため、装着方法を守りましょう。

昨今では逆に弱い力の方が歯が動きやすいということが発見されておりセルフライゲーションブラケットといった弱い力で歯を動かす矯正方法も使用されています。
矯正装置は使い方を守ることが矯正を早く終わらせる近道となります。

自己判断で装着をやめない

前述で紹介も紹介していますがマウスピース矯正は患者自身で気軽に取り外しができる矯正装置です。
そのため、治療中に動揺が気になって自己判断でマウスピースの装着を取りやめてしまいますがマウスピースを外して生活してしまうと歯は後戻りを始めここまで我慢してきた期間が無駄になってしまいます

マウスピースは一般的に20時間以上の装着をしないと思っている効果を得ることができなくなってしまうため治療の延期や歯並びへの悪影響につながる可能性があります。
動揺が酷くて不安に感じる場合は早めに歯科医に相談をして自分の状態に問題がないか確認をして装着を止めるかどうかは医師の判断を仰ぎましょう。

矯正で歯が抜けるリスクは低い

前述でも紹介しているとおり、矯正治療では歯を動かしていく過程で動揺は起きます。
慣れないことのため、歯が抜けてしまうかと心配に感じてしまいますが矯正治療中に歯が抜けるリスクはとても低いです。

そのため、不安からマウスピースの使用を控えたり早く終えたいからといって通常より強い力で矯正を進めたりしてはいけません。
矯正中の動揺で不安を感じたら個人で判断することなく歯科医に相談をして状態を確認してもらいましょう。

歯の動揺と併せて注意すべき点は?

歯の動揺と併せて注意すべき点は?

矯正治療中の歯の動揺は基本的には問題がないため、必要以上に気にしてしまって触ったり余分な力を加えないように注意しましょう。
また、子供の場合のぐらつきは大人のときとは理由が異なります。

乳歯がぐらぐらして生え変わるのは自然なことのため、神経質になる必要はありません。但し、異常がみられる場合や気になるときは迷わず歯科医に相談しましょう。
また、これから紹介するぐらつきは早めに歯科医に相談しなくてはならないため注意をする必要があります。

保定期間中のぐらつき

矯正治療が終わった後、リテーナーと呼ばれる装置を装着して歯を保定する期間にはいります。このときに歯がぐらぐらしていた場合は迷わず歯科医へ相談にいきましょう
歯列矯正が終わって後戻り防止のリテーナーを付けるころにはぐらぐらが治まってきているため、この時点のぐらつきは異常です。

装置の力が掛かっていない状態でぐらぐらする場合は虫歯や歯周病の可能性があるため、早めに歯科医の診察を受ける必要があります。

痛みを伴う

歯列矯正中は歯を動かしているため炎症が起きています。そのため、違和感や痛みがあるのはおかしなことでありません。
しかし、一般的に歯列矯正の痛みは1週間~10日前後で治まってくるため矯正装置装着後もしくは装置の調整後、それ以上経っても痛みが引かない場合は注意が必要です。

矯正中の痛みには様々な要因が考えられるため、原因が不明の場合は早めに歯科医に相談をして痛みの原因を調べてもらいましょう。

矯正治療中の不安やトラブルは歯科医に相談

矯正治療中の不安やトラブルは歯科医に相談

矯正治療は人生で何回も受ける治療ではありません。そのため、ほとんどのトラブルは初めての経験になると思います。
矯正中に歯がぐらぐらするなどいつもとは違うことが起きると患者自身で判断することは難しいです
些細なことでも歯科医に相談をして正しく対処をすることで自分が理想とする歯並びに近づくことができます。

また、矯正治療は長期の治療になるため不安なことをそのままにしていおくとストレスも溜めてしまい精神的にもよくありません。
歯科医に相談してスムーズに矯正治療を進めていきましょう。

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まとめ

まとめ

今回紹介した矯正中に歯がぐらぐらしてしまうことに関しては治療の上で問題ないことが分かりました。しかし、問題ないかどうかの判断は患者自身では難しいです。
また、矯正治療の種類によっても注意することは変わってしまいます。自分で下手に力を加えてしまい治療が失敗してしまうと延期や仕上がりの歯並びに悪影響を及ぼしてしまうことにつながります。
早めに歯科医に相談をして治療を円滑に進めていきましょう




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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