SH療法の特徴やメリットを歯科医師が解説|改善できる症状や注意点もご紹介します

【監修:青山健一】

SH療法の特徴やメリットを歯科医師が解説|改善できる症状や注意点もご紹介します

美しい歯並びはいつの時代も人々を魅了し、ステータスになっている国もあります。また、歯並びは見た目だけでなく健康にも大きな影響を与えます。

上手く噛み合わせができていないと頭痛・肩こり・不眠・疲れやすいなどの不定愁訴により、心身に不調が出やすくなるのです。
美しい歯並び・正しい噛み合わせは見た目だけの問題ではなく、健康な心身を維持するために重要な役割を果たしていることがわかります。

ところが、残念なことに現代では噛み合わせに問題のある人が増えているのです。その理由は時代と共に変化した食生活により、人間の顎が小さくなってきたことが挙げられます。

歯の本数は変わらないのに顎が小さくなってきている、つまり歯が綺麗に並ぶスペースがないという問題が口の中で起きているのです。
そこで今回は顎を広げるSH療法(顎拡大療法)をご紹介します。

SH療法の概要

SH療法の概要

現代では、昔に比べて食べ物が柔らかくなり顎を使うことが減りました。その結果、顎が退化し小さくなり、歯がきれいに並ぶために必要なスペースがなくなってきています。

歯並びが悪い場合、それに対応するためにこれまでも歯科矯正治療がありました。従来の治療法としては顎の大きさに合わせて、健康な歯を抜歯をする方法が一般的でした。

抜歯することで顎のスペースを作る方法です。しかしこの場合、健康な永久歯を抜歯するということになるため、抵抗感を覚える人もいます。

今回紹介するSH療法(顎拡大療法)は、顎の成長を促す方法です。きれいな歯並びのためのスペース確保のために健康な歯を抜歯することはありません。

そして、顎を大きくすることのメリットは歯並びや噛み合わせの問題だけではないのです。閉塞性睡眠時無呼吸症候群・顎関節症・不定愁訴の予防につながるともいわれています。

また、SH療法は装着時間が1日8時間程度と短時間でも効果が得られます。年齢の上限制限もないこの治療法は、子どもも大人も受け入れやすく、効果的な矯正方法です。

顎を広げる矯正治療

SH治療は取り外し可能なスライデックスという矯正装置を使って顎を広げていきます。
このスライデックスはスプリングが組み込まれた装置で、スプリングの働きにより顎を広げていきます。

小さな力で少しずつ広げていくため、痛みはほとんどありません。装置は治療の状況に合わせて改修・修理されますが、作り直しが必要な場合もあります。
取り外しは簡単で1人でも可能です。お子さんでも慣れれば1人で装着・取り外しができるようになります。

年齢を問わず治療を受けられる

一般的に歯科矯正というと、子どもが対象と思われるかも知れません。しかし、歯科矯正といっても種類はあり、効果を得るために有効な開始年齢や年齢の上限は違います。

SH療法の治療開始の目安は上の前歯が4歯、下の前歯が4歯生えてくる7~8歳ごろからです。
治療の年齢上限は原則ありません。

SH療法は装置を短時間だけ装着するため、見えない・目立ちにくいうえに、通院頻度の目安は月に1回程度と忙しい大人でも通院しやすい治療法です。
治療が進み、積極的に歯を動かす時期が過ぎると通院間隔はさらに長くなり、通院の負担も減ってきます。
具体的な治療期間や通院頻度は年齢や口の中の状況により異なります。まずは取り扱い歯科医院に相談することをおすすめします。

抜歯が不要

抜歯が不要

SH療法は顎を本来成長するはずだった状態に近づけていき、その新たなスペースに自然治癒力で歯が本来の位置に移動するのをサポートする治療です。

そのため、基本的に抜歯は行いません。これまで健康な歯を抜歯することに後ろ向きだった人にとっては、歯科矯正を始めるきっかけになります。

また、抜歯は本来あるべきところの歯がなくなるため、少なからず体に負担がかかるのは当然です。治療のために抜歯することで、頭痛や肩こりなどの不定愁訴を引き起こすことがあります。
抜歯をしなくても治療ができるということは、そのような不定愁訴の予防にもつながります。

装着時間が短い

SH療法の矯正器具は1日8時間ほどの装着で効果が得られます。さらに、就寝時に装着することも可能なため、矯正していることを周囲に隠すこともできるのです。

従来の装置では日常的に装着が必要なため、学校や会社で外すことはできません。そのため、矯正期間中は見た目が気になる、コンプレックスに感じるという人もいます。

また、食事中も装置を付けたままのため、食べにくく感じたり虫歯や歯周病のリスクもありました。
しかしSH療法の場合、食事中は装置がないため食事を楽しむことができ、さらに食べかすが装置に挟まるなどの虫歯のリスクも減ります。

特にお子さんの矯正の場合、給食の時間も親御さんにとっては心配の種になります。虫歯の心配だけでなく、マウスピース矯正のようなつけ忘れの心配がないのも安心です。

夕食後に8時間の装着を開始すると、たいてい翌朝の朝食時間には8時間経過しています。SH療法は毎回の食事が楽しめるうえに見た目も気にならない治療法になります。

ピンポイントでの治療も可能

歯並びの悩みは人それぞれあります。全体的にデコボコしている人・前歯だけが気になる人などさまざまです。
顎を広げるSH療法は全体を治したい人はもちろん、前歯だけなどピンポイントで治したい人にも効果的な治療法になります。

その理由として、前歯を例に挙げてみます。顎を本来の大きさまで広げることにより、これまできれいに正しい場所に並んでいたとみられる歯も動き出すのです。
それによりスペースを得た前歯が正しい位置に並ぶことができるようになり、全体的にきれいな歯並びになります。

口の中の症状は人それぞれです。まずは専門の歯科医に相談してみることをおすすめします。下記のリンクから無料相談の予約ができます。

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SH療法のメリット

SH療法のメリット

従来の矯正と違い、抜歯の必要がない・1日8時間の装着で効果が得られるなどSH療法のメリットはあります。しかし、メリットはそれだけではありません。
具体的なメリットについて紹介します。

矯正装置が目立たない

海外では歯科矯正を行うことは、きれいな歯並びになれる・矯正にお金をかけられる経済的ゆとりがあるなど、ポジティブな印象がもたれます。

しかし日本では、矯正は痛い・面倒・装置をつけているところを見られたくないなどのネガティブな印象が強いです。見た目を気にして矯正を後回しにしている人もいます。

SH療法では矯正装置を1日8時間ほど装着することになります。そのため従来の矯正器具とは異なり、24時間装着する必要がありません。

8時間であれば就寝時に装着することにより、日中や人前に出るときに人に見られることもありません。
人の目を気にすることなく、治療期間中もこれまで通りの生活ができるのです。

手入れがしやすい

手入れがしやすい

SH療法の装置は取り外すと唾液がたくさんついています。唾液をそのまま放置すると臭いや汚れの原因になるためお手入れが必要です。
お手入れは慣れるまで面倒に感じるかもしれませんが、やり方は簡単です。

歯磨きのタイミングで同じように歯ブラシを使い優しく磨きます。バネの部分などは丁寧に磨きましょう。
装置を継続して使用することで臭いや汚れが気になる場合は、定期的に専用のクリーニング剤を使用するのもおすすめです。
お手入れ自体は難しくないため、清潔に保つようにしましょう。

後戻りする可能性が低い

SH療法は顎を広げていくことにより、自然治癒力により本来の位置に歯が動いていくのをサポートする治療です。
小さな力で少しずつ顎を広げるため、痛みはほとんどありません。また、顎が大きくなりすぎることはありません。これまで顎が小さかった顔が、顎が整うことでバランスの良い顔にもなります。

そのように広げていった顎は、後戻りすることは非常に稀です。
しかし、装置だけに頼らず普段の食生活でも注意することが大切になります。日常で気をつけることについては歯科医に相談してみることをおすすめします。

コスパが良い

SH療法で使うスライデックスという装置は最初に作成したものを可能な限り修理・改修して使用します。
それが従来の矯正に比べてコスパが良くなっている理由の1つです。
しかし、治療状況や装置の紛失・破損がある場合は装置の作り直しが必要になります。装置の取り扱いに注意しましょう。

歯並び以外の症状改善にも効果が期待できる

顎そのものを広げることにより自然治癒力で歯並びを改善していくSH治療は、まず体に余計な負担を掛けません。
また歯並びが良くなるということは、噛み合わせを正常な状態に導く可能性があります。
噛み合わせが良くなると肩こり解消や安眠なども期待でき、結果として精神的な安定にもつながっていきます。

また歯磨きしやすくなることで虫歯や口臭予防も可能であり、特に高齢者であればスムーズな咀嚼と嚥下をサポートするという大きなメリットが期待できます。

SH療法で改善できる症状

SH療法で改善できる症状

SH療法は顎を広げて歯を本来あるべきところに戻す働きがありますが、改善するのは歯並びだけではありません。
顎そのものを広げるため骨格が変わります。それにより睡眠時無呼吸症候群・顎関節症・いびき・鼻炎や副鼻腔炎などの改善が期待できます。

SH療法も注意点

SH療法も注意点

抜歯をせず自然治癒力を活かすSH療法は、体にとっても自然で優しいものになります。
また装着時間が短く、心身の負担が従来のものに比べて軽いなど、患者さんにとってメリットばかりに感じるかもしれません。
しかし、SH療法には注意点もあります。注意点を事前に確認しておくことも重要です。

装着時間を自分で管理する必要がある

SH療法の装置は、自分で取り外し・装着をする必要があります。
1日8時間の装着が習慣化できるまでは、つけ忘れてしまうこともあります。また、面倒に感じてしまうこともあるかもしれません。

つけ忘れ防止のため歯ブラシのそばに装置をおいておくなど、工夫が必要になります。
またお子さんが治療される場合は、親御さんのフォローも重要です。お子さんも慣れるまで嫌がるかもしれませんが、装着できたら褒める、8時間装着できたら褒めるなど親御さんの協力も必要になります。

治療期間が長い

SH療法の平均治療期間は3~4年です。これは従来の矯正に比べると長く感じるかもしれません。
また、症状や年齢によって治療期間は変わってきます。治療計画が変更にならないよう、まずは決められた時間、正しく装着することが大切です。

SH療法での治療の流れ

SH療法での治療の流れ

気になるSH療法の治療の流れはとてもシンプルです。まず、カウンセリングとして初診チェック・治療方法・治療方針の説明があります。

その後、精密検査としてレントゲン検査・写真撮影(口内、顔など)・歯型採取を行い、矯正装置を製作します。
装置が出来上がると、次は装着の手順・操作の詳細・お手入れの仕方などについての説明です。このときに着脱の確認も行います。

装置を使用して1か月程度で装置の緩み・汚れ・破損の有無の確認、歯や口内の痛みの有無や状況を確認するため再診があります。
通院頻度は症状や歯科医院により異なるためそれぞれ確認が必要です。目安としては1か月に1回の頻度になります。

SH療法の治療費

SH療法の治療費

 

SH療法の費用は各歯科医院・クリニックにより異なりますが、主にレントゲンや歯型採取などの精密検査代・装置の製代費・装置の改修や修理代・定期検診代などがあります。

最も高額なのが装置の作成になりますが、これは頻繁に作り変えるものではありません。治療状況により改修や修理をしていきます。
しかし、治療状況により作り直すこともあります。また装置が紛失・破損してしまった場合も作り直しになるため注意が必要です。

SH療法での治療希望の方は歯科医院へ相談

SH療法での治療希望の方は歯科医院へ相談

SH療法はSHTA(SH療法研究会)に所属している歯科医院のみ行える治療法です。更に治療器具の製作は特定の技工所で行われています。

まとめ

まとめ

従来の歯列矯正は、見た目が気になる・痛みがある・健康な歯を抜歯するなど、精神的にも肉体的にも負担がかかるものでした。
SH療法は1日8時間の装着のため人に見られることも少なく、抜歯せず自然治癒力で本来の場所に戻すため、心身ともに優しい治療です。

また得られる効果は、きれいな歯並びだけではく、噛み合わせが良くなることで頭痛・肩こり・不眠症などの緩和も期待されます。
歯科矯正が気になりながらもこれまで見送られてきた方は、検討してみることをおすすめします。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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