歯列弓の異常の症例や原因を詳しく解説|歯列弓の矯正治療の注意点もご紹介します

【監修:青山健一】

歯列弓の異常の症例や原因を詳しく解説|歯列弓の矯正治療の注意点もご紹介します

普段何気なく「歯並びが気になる」といいますが、その歯並びには歯列弓の存在が大きく関係しています。
歯列弓の大きさや形、歯の大きさとのバランスによって、歯並びは大きく変化していくのです。歯列弓の一般的な形とはどのようなものか、まずは確認してみましょう。

そして歯列弓の異常にはどのような種類があるのか、どのような原因で生じているのかを解説します。
歯列弓の矯正治療の種類や注意点、最新の治療法についても併せてみていきましょう。

一般的な歯列弓の特徴

一般的な歯列弓の特徴

 

最初に歯の生えてくるしくみを確認しましょう。歯の赤ちゃんにあたる歯胚(しはい)は、最初は顎骨の中にあります。
それがだんだんと成熟して歯の頭(歯冠)ができ、その後歯を支える根っこ(歯根)が出来てくると、口腔内の方向に向かって成長し、歯肉を破って口の中に生えてきます。

その時、歯が一列に並ぶ位置にある骨が歯槽骨(しそうこつ)です。いわば歯の土台です。
この一列に並んだ歯列を歯の咬合面(歯の噛みあう面)から見てみましょう。

前歯の先端、犬歯の先端、臼歯(奥歯)の外側寄りの先端の3つの頂点を結ぶことによって曲線ができています。
この曲線が歯列弓と呼ばれる歯並びのアーチです。

歯列弓は、乳歯列、乳歯と永久歯が混ざり合っている状態の混合歯列、永久歯列ではそれぞれ異なった形をしているのが一般的です。
乳歯列では、上下顎ともに半円状で、歯と歯の間には発育空隙と呼ばれる隙間があります。

永久歯列では、上顎はU字型ともいわれる半楕円形、下顎は放物線形をしています。
上顎歯列弓のほうが下顎歯列弓よりもほんの少し大きいのも特徴の一つです。

これによって、上の前歯が下の前歯の先端とぶつからずに下の前歯1/3ほどに覆いかぶさる形で咬み合い、ハサミのように食べ物を噛みきることが出来るのです。

歯列弓の異常の症例

歯列弓の異常の症例

このように生育する歯列弓ですが、その過程できれいに生えそろうとは限りません。
さまざまな要因によって、歯列弓に異常が生じることがあります。
そんな歯列弓の異常の症例についてみていきましょう。

V字型歯列弓(狭窄歯列弓)

歯列弓の横幅が狭い歯並びのことをV字型歯列弓、または狭窄歯列弓と呼びます。
これは主に臼歯が歯列弓の内側に寄ってしまうことにより生じます。
歯列弓が狭くなってしまうため、歯が並ぶスペースが少なくなってしまうケースがほとんどです。

鞍状歯列弓

鞍状歯列弓

前から数えて5番目の永久歯(第二小臼歯)が歯列弓の内側に生えている歯並びのことを鞍状歯列弓と呼びます。
馬の鞍のような形になることから、こう呼ばれるようになりました。

下顎歯列弓で起こりやすい異常で、下顎の第二小臼歯は生えてくる順番が遅いため、歯列弓内にスペースが不足していると内側に生えてきてしまいます。

叢生歯列弓

叢生歯列弓

歯が歯列弓の中に入りきらず、重なり合ってデコボコに生えてきてしまった歯並びのことを叢生歯列弓と呼びます。乱ぐい歯ともいわれます。
上顎の犬歯が特徴の八重歯も叢生のひとつです。

歯列弓の異常の中でも最も多く、ブラッシングしにくいためにう蝕や歯周病、口臭などのリスクが高くなります。
また、歯槽骨が薄くなるケースが多く、歯を失った際の治療が困難になりやすいことも問題のひとつです。

空隙歯列弓

歯と歯の間にすき間が空いている歯並びを空隙歯列弓と呼びます。
特に上顎前歯の真ん中にすき間が空いている状態は正中離開(せいちゅうりかい)といいます。

歯と歯の間から空気が漏れやすいため、発音に影響が出ることがある症状です。
この正中離開、日本ではあまり知られていませんが、海外では「幸運の歯」「富の表れ」などと呼ばれることもあります。知っていると少し楽しい豆知識です。

歯列弓の異常の原因

歯列弓の異常の原因

このように歯列弓にはさまざまな異常が発生することがあります。
では、その異常はどういった原因で発生するのでしょうか。ここからは、歯列弓の異常の原因についてみていきましょう。

歯の大きさ、顎の大きさ

歯の大きさ、顎の大きさ

顎の大きさに比べて歯が小さい、または大きいなど、歯の大きさと歯が生えるスペースのアンバランスによって歯列弓の異常が生じます。
顎の大きさに比べて歯が大きい場合は鞍状歯列弓や叢生歯列弓に、顎の大きさに比べて歯が小さい場合は空隙歯列になりやすいといえます。

顎の劣成長・過成長

顎の劣成長・過成長

上顎骨と下顎骨は別々の骨です。その為、発育に差がでてくることがあります。
その為、仮に歯列弓の大きさが正常であっても、どちらかが大きく成長したり、あまり成長しなかったりすると、上下の歯列弓の位置にズレが生じてきます。
顎の劣成長の場合は歯列弓も小さくなり、過成長の場合は歯列弓も大きくなるケースがほとんどです。

しかし歯の大きさは顎骨の成長の影響を受けないため、歯の大きさと生えてくるスペースのアンバランスが生じるのです。
この場合は治療の際にMFT(口腔筋機能療法)や外科的矯正治療が必要になってくる場合が多いといえます。

口呼吸

口呼吸

口呼吸によって舌、唇、頬などの位置および口腔内に与える力のバランスが崩れてしまうことがあります。
まずは正常な状態をみてみましょう。

リラックスした状態では口唇は閉じ、上下の歯は触れ合わずほんの少しの隙間を開けた状態となります。
舌は上顎の前歯付け根の内側に位置します。
歯は口唇、頬と舌の間に位置し、内側(舌)と外側(口唇、頬)からバランスよく圧力を受けているのです。

では、口呼吸の場合をみてみましょう。
口が長時間開いていることにより、前歯部への口唇からの圧力がかからなくなります。これは上顎前突、いわゆる出っ歯へのリスクとなります。

また、舌も上顎に触れなくなるため舌の内側からのバランスの良い圧がかからなくなり、頬からの圧力のみが臼歯部に加わった状態です。
これはV字型歯列弓へのリスクとなります。さらに、舌がどこに位置し、どこを圧迫するかによってさまざまなリスクが生じます。

上顎前突、下顎前突(受け口)、空隙歯列弓、「開咬」という奥歯で咬んでも前歯が当たらず隙間が出来る状態などが代表的です。
治療には口腔筋機能療法(MFT)という舌や口唇、頬などの口腔周囲筋のバランスを整える訓練が必要になってきます。

また、舌で前歯を過剰に押したり舌を上下の前歯の間に挟む「舌癖」や、指しゃぶり、頬づえなどの癖によって歯列弓の異常を招いている場合もあります。
このような場合は矯正治療だけではなく、矯正治療後の歯列弓の安定の為にもMFTの必要性があることが多いです。

歯列弓の矯正治療

歯列弓の矯正治療

こうした歯列弓の異常がある場合、どのような治療が可能でしょうか。
ここからは、歯列弓の矯正治療について説明していきます。

ブラケット矯正(ワイヤー矯正)

ブラケット矯正(ワイヤー矯正)

「矯正」と聞くと、まずこの治療法を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
歯の表面に、ワイヤー(針金)を通すための装置であるブラケットを装着し、そこにワイヤーを通す矯正法です。

歯にさまざまな方向の力をかけていき、少しずつ目的の場所に移動させていきます。ブラケットとワイヤーはゴムリングもしくは細いワイヤーで止めてあります。
ブラケット矯正は昔から行われている治療方法で症例数も多く、ほとんどの歯並びに適用することが出来る安全な治療法です。

また患者さんに合わせた細かな微調整も可能で、応用力も高く、歯の移動速度も早いというメリットがあります。

一方、デメリットとしては目立ちやすい点や、装置に異物感が強く自分で外すことが出来ない点が挙げられます。
口腔内清掃が困難になるためう蝕や歯周病のリスクが高くなり、歯磨きに時間がかかってしまう点も注意が必要です。

装置の装着や調整直後は痛みを伴うこともあります。
また、装置やワイヤーが外れてしまうこともあるため、こまめな通院治療が大切です。
ブラケット矯正は目立つとのイメージが先行してしまいやすいのですが、最近は審美ブラケットと呼ばれる目立たないタイプも開発されています。

透明や白色タイプのブラケットや、白色のワイヤーなども開発されているため、目立つことが気になるときは歯科医に相談してみましょう。
また口の中の装置を小さくする方法として矯正用ミニインプラントを併用した方法なども開発されており、日々進化を続けています。

床矯正

入れ歯のピンク色の部分のような「床」と呼ばれる部分にワイヤーやネジが埋め込まれた装置を用いる治療法です。
主に歯列弓の横幅を広げる際に用いられ、それに加えてワイヤーを組み込むことによって歯列をある程度整えることもできます。

床矯正のメリットとしては取り外し可能なことが挙げられます。
歯磨きや食事がしやすいため、う蝕や歯周病のリスクを減らすことが可能です。
治療に伴う痛みが少ないことも多く、痛みが気になる方には魅力的な選択肢となります。

また、ブラケット矯正よりも費用が安いことも多いです。一方、デメリットとしては自己管理が必要な点が挙げられます。
最低でも1日8時間以上の装着が必要な他、装置の破損や紛失などのリスクがないように管理が必要です。

また装置が大きいため異物感を感じやすく発音障害を起こしやすいという特徴があります。

適応症例が限られることにも注意しましょう。主に4~12歳位の顎骨の発育が活発な子供が対象となります。
ブラケット矯正と組み合わせて使用されることも多い治療法です。

マウスピース矯正で治療できることも

マウスピース矯正で治療できることも

近年ではインビザラインという、透明なマウスピースを用いた矯正装置も普及してきました。
治療方法としては、まずインビザライン作製用の歯型を採り、コンピューターを用いてシュミレーションを行いながら一人ひとりに合った装置を作製します。

そしてそのマウスピース型の装置を2週間ごとに付け替えていくことによって歯を徐々に動かしていく矯正方法です。
マウスピース矯正のメリットは透明で目立ちにくい点や、取り外し可能で歯磨きや食事がしやすい点が挙げられます。

痛みが出にくく、来院時の治療時間が短いなど、負担が少ない点も魅力です。
また事前にコンピューター画像で治療開始から完了までの口腔内の変化が確認できるため、治療の流れや治療後の歯列がイメージしやすい点もメリットとして挙げられます。

一方、マウスピース矯正のデメリットとしては、全ての症例に適応可能というわけではない点です。
ご自分の症例に適応可能かどうか、まずは専門医に確認してみてください。また、自己管理が必要な点にも注意しましょう。

マウスピースは1日20~22時間の装着が必要となりますし、2週間ごとに次のマウスピースへと換えていく必要があります。
外した時に紛失したり破損しないよう、マウスピースの管理も必要となります。
ブラケット矯正より時間がかかる点も注意が必要です。

また、マウスピース矯正では奥歯のかみ合わせ部分にすき間が出来て歯が当たらなくなることがあります。
マウスピース治療終了後にブラケットによる部分矯正が必要な場合があることも把握しておきましょう。

また、一切歯を削ったり抜いたりする必要がないわけではなく、症状によっては歯を少し削ったり加工することがあります。
歯を動かすスペースを作る為に、歯と歯の間を少し削る必要がある場合があります。

また、歯の表面にはアタッチメントという透明な小さな突起のようなプラスチックを貼り付けることが多いです。
マウスピース矯正はとても画期的な治療法です。メリットも多く魅力的ですが、誰にでも用いられるとは限りません。

自分の症例がこの治療法に合っているのかの見極めが必要となります。
まずは矯正治療の専門医に相談し、どんな治療法が有効か、また自分のライフスタイルに合っているかを相談してみましょう。

当院では矯正治療の経験を生かし、無料で矯正相談を行っています。是非気軽にクリックして、専門医に相談してみてくださいね。

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歯列弓の矯正治療の注意点

歯列弓の矯正治療の注意点

矯正治療にはさまざまな方法がありますが、同時に注意したい点もあります。歯列弓の矯正治療には、どのような注意すべき点があるのでしょうか。
矯正治療の注意点を把握し、よりよい治療を行っていきましょう。

症状によっては抜歯が必要

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抜歯を嫌がる方は多くいらっしゃいます。出来ることなら今生えている歯は抜きたくないと思う方は多いです。
しかし、歯列弓の異常の原因が歯の並ぶスペースの不足による場合、それを改善するにはスペースを作る必要があります。

歯列弓を広げてもスペースが足りない場合、無理に非抜歯で歯を並べようとするよりも抜歯を選択したほうが良いことも多いため、慎重に検討しましょう。
最近では非抜歯の矯正を掲げる矯正医も少なくありませんが、スペースがないところに無理やり歯を並べるのはデメリットも発生します。

大切なのは、治療法に納得した上で抜歯を行うことです。
後悔を残さないように、矯正の専門医としっかり話し合って計画を立てていきましょう。

早めの治療が大切

早めの治療が大切

子供のうちに治療するのと、大人になってから治療するのと、どちらが良いのか悩む方も多いです。
早いほうが良いという意見もありますし、大人になって生活リズムが安定してからのほうが通院が楽だという考え方もあります。

では、まずは子供の矯正治療の流れをみていきましょう。

子供の矯正には2つの段階があります。
1つは、3歳~12歳位に行われる1期治療
もう1つは、中学、高校生になって、永久歯にすべて生え変わったあとに行う2期治療です。

1期治療は乳歯から永久歯に生え変わるタイミングで行うため、歯だけではなく、歯を並べる土台となる顎骨の成長もコントロールしていきます。
2期治療は全て永久歯に生え変わった段階で、しっかりと並べて整え上下の歯を咬み合うようにする治療です。

一方、成人矯正は症例によって差はありますが、大体2~3年の治療が必要となります。
合計の期間でみれば、子供の頃から早めに治療したほうが成人矯正よりも時間がかかることが多いです。しかしその分出来ることも多いのです。

成人矯正の場合のように顎骨の成長が終了したあとでは、症例によっては顎骨を切るなどの外科的矯正処置が必要となる場合もあります。

一方子供の矯正の欠点としては、進学などの周囲の環境変化の中での通院が困難だったり、自分でのお口の中の管理が難しく虫歯のリスクを高めてしまう可能性などが挙げられます。
どちらが適しているのか専門医と相談し、よく考えた上で治療を始めることが大切です。

歯列弓が気になるなら歯科医に相談

歯列弓が気になるなら歯科医に相談

矯正は歯科の中でも特に個人差が大きい治療です。
血のつながった兄弟間でも歯の大きさや顎の大きさは異なります。他人と比較すればお口の中の状況も治療法も全く違ってきます。

大切なことは、早めに一度矯正の専門医に相談してみることです。
子供の頃に矯正を開始するのか、大人になってから行うのか。歯を抜くのか、抜かないのか。どのような装置を使用するか。

迷うことは多いですが、それは選択肢が多く存在するということでもあるのです。
早めに専門医に相談することによって、治療の選択肢の幅は広がります。
矯正専門医では初回の無料相談を行っているところも多数あります。まずは一度、気軽に相談してみましょう。

以下のボタンから気軽にご相談ください。

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まとめ

まとめ

歯並びについて理解するには、まず歯列弓について知っておきましょう。
歯列弓の異常には「V字型歯列弓」「鞍状歯列弓」「叢生歯列弓」「空隙歯列弓」などの種類があります。
それらの異常の原因は歯の大きさや顎の大きさ、顎の過成長や劣成長、口呼吸などの癖だとされています。

矯正治療の種類にもさまざまなものがあり、「ブラケット矯正」「床矯正」「マウスピース矯正」などが可能です。
症例によって適応される治療法が異なることも多いため、まずは早めに矯正の専門医に相談してみるのが大切です。

ご自身の症例に合った矯正方法で歯を整え、美しい歯並びを手に入れましょう。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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