舌癖が歯並びに及ぼす影響を歯科医が解説|舌癖の治し方や矯正治療中の注意点もご紹介

【監修:青山健一】

舌癖が歯並びに及ぼす影響を歯科医が解説|舌癖の治し方や矯正治療中の注意点もご紹介

例えばテレビを見たり本を読んだり日常生活の中で何か集中していると口が自然に開いて、上下の歯の間に舌が出ている人がいます。
また、飲み物を飲んだり食べ物を飲み込んだりするときに、舌が前に出てしまったり舌が歯を押してしまったりする人は少なくありません。

これは「舌癖」と呼ばれる症状の1つで、この状態が続くと歯同士が触れ合っていないため噛み合わせをよくしようと上下の歯が伸びてきて出っ歯になってしまいます。
今回はそんな舌癖が歯並びに及ぼす影響について解説していきます。

舌癖は歯並びに影響するのか?

舌癖は歯並びに影響するのか?

開咬・出っ歯・受け口などの舌癖があると歯並びや噛み合わせに大きな影響を与えます。
開咬・出っ歯・受け口になってしまうと将来健康面に支障が出てしまうため早めに歯科医院で治療しましょう。
舌癖は小さいうちからトレーニングや専用の器具を取り付けることによって改善しますが、大人になると習慣づいた癖を治すのには根気が必要です。

時間がかかればそれだけ費用もかさむだけでなく心理的負担も大きくなります。そのため少しでも早く治療を始めることが重要になります。

また舌癖は歯並びだけではなく滑舌にも大きな影響を及ぼします。
一般に舌癖がある人は無い人に比べて滑舌が悪くなる傾向があり、典型的な例として、サ行・タ行・ナ行・ラ行が舌足らずな発音になりがちです。

舌癖による滑舌の悪さから人前でしゃべることに精神的なストレスを感じ、引きこもりになるなど日常生活にもさまざまな支障をきたすケースも少なくありません。
舌癖は精神的にも肉体的にも影響が大きいため決して見逃さず根気強く治すようにしましょう。

歯並びに影響する舌癖

歯並びに影響する舌癖

舌癖とは知らないうちに自然に口をポカンと開いて上下の歯の間に舌が出ている・舌の突出し・舌で歯を押すような癖をいいます。
舌癖は癖がつくと自力でだけでは治しにくく歯並びや発音に大きな影響を及ぼします。
それでは舌癖が及ぼす影響について解説しましょう。

舌で歯を押す

本来舌の正しい位置は舌先が上の前歯の付け根にあるスポットと呼ばれる丸い膨らみを触った状態で舌全体が上顎にくっついているのが正常な状態です。
しかし、舌癖がある人は無意識のうちに舌が本来あるべき位置よりも全体的に下り、飲食や唾を飲み込むときに上の歯と下の歯の間を押しつけるようにしてしまいます。

こうした舌癖を毎日続けることでさまざまな悪影響が体に現われ、舌で押しつけられた歯は次第に移動し始めて出っ歯・すきっ歯などの原因になります。

飲み込むときに舌を突き出す

飲み込むときに舌を突き出す

人間は無意識に唾を1日に約1,500回飲み込むといわれていて、舌癖がある人はその度に舌で歯を押してしまっているため上下の歯の噛み合わせが合わなくなり、歯と歯の間に隙間が開いてしまう状態になります。

また下唇を噛む癖がある人は上の前歯を外側に押す力が強く働き出っ歯・すきっ歯になります。これは舌を突き出すため過剰な筋力が歯だけでなく口全体にかかるからです。
悪癖を治さなければ歯列矯正が治っても、後戻りすることになります。

上下の前歯の間に舌を出す

上下の前歯の間に舌を出すのは舌癖の典型的な例です。
舌が通常よりも下にある状態で食事をするとクチャクチャ音を立てて咀嚼して食べるようになり、さらに滑舌が悪くなるなど歯並び以外にも悪影響があります。
音を立てて咀嚼してしまうのは口のまわりの筋肉が弱く、日頃口呼吸をしているからです。
こうした悪癖が原因で歯列不正を起こすと歯の位置がどんどんずれてしまいます。

舌癖が原因で起こる歯並び

舌癖が原因で起こる歯並び

舌が前歯を押すことで歯並びがガタガタになり口内でさまざまな症状が起こりやすくなります。
ここでは3つの症例をあげて解説します。

出っ歯

出っ歯は別名上顎前突と言われ、その名のとおり上の前歯が前に出っ張ってしまう歯並びのことです。
先天的なものと後天的なものがあり、先天的なものでは祖父母や両親からの遺伝で上顎が大きすぎることが原因です。
出っ歯が遺伝するわけではありません。

また、下顎の骨が小さすぎて相対的に前歯がせり出して出っ歯になることもあります。
遺伝に由来するとされる骨格性上顎前突は出っ歯の約3割~4割を占めることがわかっています。
後天的な原因は幼少期の指しゃぶり・爪を噛む癖・頬杖などにも関係していることが少なくありません。

歯というのは通常の歯並びでも簡単に折れてしまうため、歯が前に出てしまっている状態だと斜めに力が入ってしまいより折れやすくなってしまいます。
そして、出っ歯になると口が閉じにくくなるため話をしている間に口が乾燥し雑菌が繁殖しやすくなり口臭・歯周病の原因になります。

さらに口が開いていると自然に口呼吸をすることでいびきをかきやすくなり睡眠時無呼吸症候群になりがちです。
またドライマウスという口内だけではなく鼻や喉まで乾燥して痛みが生じる病気になる可能性があるため注意が必要です。

すきっ歯

すきっ歯

すきっ歯は別名空隙歯列と呼ばれており歯と歯の隙間が開いてしまうことで発症し先天的なものと後天的なものがあります。
先天的なものとしては生まれつき欠損部ができて隙間が開き、後天的な場合は加齢・頬杖なども原因の1つと考えられます。

すきっ歯は放置したままでも機能上大きな問題はありませんが、歯が欠けやすくなることがあるため注意が必要です。

開咬

開咬とは口を閉じたときに上下の前歯に隙間が出来てしまう不正咬合のことです。
奥歯で噛んでも上下の歯がうまく噛み合わないために上手く食べ物が噛み切れなくなる症状を指します。
開咬も口呼吸になるケースが多く、口内の乾燥が進んで虫歯・歯周病を引き起こすことが少なくありません。

また、上下の歯に隙間ができることで特定の音が発音しづらく精神的ストレスを抱え込みやすくなります。
開咬は常に奥歯を酷使しているため歯に負担がかかってしまい将来的に歯を失う可能性が高いです。
歯を失った際もインプラント・入れ歯を作るとき噛み合わせの調整が大変難しくなってしまいます。

舌はどこに置くのが正しい?

舌はどこに置くのが正しい?

飲食や会話以外特に何もしていないときの舌の正しい位置は、舌先が上の前歯の付け根を触っている状態で舌全体が上顎にべったりくっついているのが正しい舌の定位置です。
舌を置いて違和感を覚えたら、舌の筋肉が弱っているサインのためトレーニングが必要となります。

舌癖の治し方

舌癖の治し方

ここまで舌癖の症例をいくつかみてきました。
ここからは舌癖の基本的な治療方法について解説していきます。
舌癖は成長過程で治るものではないため正しいトレーニング方法を覚えて実践することが重要です。

MTF(筋機能訓練)

MTFとは唇・頬・口のまわりの筋力のバランスを良くして機能を改善する訓練方法のことです。
舌癖の原因として遺伝以外には幼少期の生活習慣・癖なども大きな要因となっています。
口のまわりの筋肉が弱いと舌癖や指しゃぶりなどで開咬・出っ歯・すきっ歯などの症状を招きます。

訓練の目的としては正しい飲食の仕方や訓練で覚えた舌の正しい位置など唇の状態を日常生活の中で意識して習慣化させることです。
訓練の内容としては、まず歯科医院で口のまわりの筋肉の状態を検査した後にその結果に合わせてトレーニングの内容を決めます。

トレーニングを自宅で行い1ヶ月後に改善具合を検査して、その結果にもとづいて訓練内容を変えるといったトレーニングの繰り返しです。

矯正装置を使う

矯正装置を使う

舌癖を治す矯正装置はタングクリブ・べろガードと呼ばれる歯に装着する矯正装置を使い、舌が上下の前歯を越えて出ないように癖をつけます。
歯のまわりには針金状の機械を取り付けるため最初は不快感や痛みが生じ、人によっては口内炎ができますが約2~3日で慣れます。

矯正装置は自宅で取り外しができないため、どうしても上手く歯磨きができない場合は歯科医院へ行ってメンテナンスしてもらいましょう。
歯の裏や器具の隙間に食べ物が溜まりやすくなるとそれが原因で口臭・虫歯・歯周病・歯肉炎などが起こりやすくなります。

舌癖は歯列矯正の妨げになる

舌癖は歯列矯正の妨げになる

舌癖が治らなければ歯列矯正しても後戻りの原因になってしまいます。
舌癖を治すには時間がかかるため、ゆっくり着実に毎日トレーニングを積み重ねることが欠かせません。

舌癖がある人が矯正治療中に注意すること

舌癖がある人が矯正治療中に注意すること

舌癖がある人が矯正中に気をつけることは、正しい舌の位置や口のまわりの筋肉の動きを覚えて習慣化することです。
具体的に注意点についてみていきましょう。

舌癖も一緒に治すことが重要

舌癖も一緒に治すことが重要

舌癖が治らないうちは、舌で歯を押してしまうことで矯正器具を無意識のうちに押してしまいます。
そのため歯列矯正する方は舌癖も一緒に治すことが重要です。
歯列矯正でポイントになるのは歯根膜です。
歯根膜は歯と骨の間にあり、歯列矯正で歯に圧力をかけることで歯を正しい位置に移動させます。

しかし、舌癖が治らないまま歯列矯正だけを始めても後戻りするため治療に時間がかかります。
舌のトレーニングを一緒に行えば虫歯・歯周病の予防にもつながり健康的な素敵な口元になるためおすすめです。

医師に相談するのも1つの手

舌癖を自分で直すなら、信頼できる舌癖のトレーニングの知識があり症例をたくさんみてきた矯正治療が専門の歯科医院に行って相談しましょう。
舌癖は医師が検査の結果口内の状態に合わせてトレーニング方法を考えてくれます。
小さなお子さんの場合は早めに舌癖の治療を始めてください。

骨もまだ柔らかいため歯列矯正もしやすく、大人と違い舌癖の習慣が定着する前なら期間も短くてすみます。
一方でお子さんの場合はやる気が持続しないこともあるため本人の気持ちに寄り添いながら治療を進めてあげてください。

まとめ

まとめ

舌癖が歯並びに及ぼす影響と矯正治療中の注意点について解説しました。
舌癖を放置したまま大人になってしまうと体にさまざまな影響を及ぼします。
矯正器具をつけてトレーニングしても舌癖が治らないままだとお金と時間がかかってしまい知らず知らずの間に精神的ストレスに悩む方もいます。

自分の悪癖である舌癖を治すなら気づいたときに歯科医院で診療してもらってください。
歯列矯正は自分自身の前向きな意識も必要になってくるため歯科医に相談しながら根気強く治療しましょう。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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