【監修:青山健一】
目 次
インビザラインは患者さんの歯にあわせて作ったマウスピースを、定期的に交換しながら歯並びを整えていく矯正治療です。
このとき矯正する力がうまく作用するように、歯の表面にアタッチメントと呼ばれる突起物を取り付けます。
アタッチメントは基本的にはしっかり取り付けていますが、取れてしまうことも少なくありません。
今回はインビザラインのアタッチメントが外れてしまう原因と、外れたときの対処法について解説していきます。
インビザラインのアタッチメントの役割
インビザラインではマウスピースを歯に被せることで、歯並びを整えていきます。
このときマウスピースだけでは歯を動かす力がうまく歯根まで伝わりにくいことがあるのです。
アタッチメントはそれをカバーしてマウスピースの力が歯根まで伝わらせる作用があります。
歯の表面はつるつるなのでマウスピースも滑りやすいのです。アタッチメントを使うことでしっかり歯と密着させることができます。
だから歯を動かす力がうまく伝わるようになるのです。アタッチメントは矯正に重要な役割を持っているといえます。
インビザラインのアタッチメントはいつまで?
アタッチメントは基本的にはインビザライン矯正が始まってすぐ取り付けるわけではありません。
多くの場合、2番目か3番目のマウスピースが渡されるときにアタッチメントを取り付けることになります。
患者さんの歯の状態によっては外すことやつけかえることもありますが、基本的には矯正治療が終わるまでアタッチメントはつけたままです。
矯正治療が完了したらアタッチメントは全て外します。
インビザラインのアタッチメントは外れやすい?
インビザラインのアタッチメントを取り付ける際は、外れないように接着します。しかし、それでも外れてしまうことがあるのです。
アタッチメントが外れやすい原因ついてお話していきます。
初期不良の可能性
アタッチメントが外れてしまう原因として最初の接着のときに、うまく接着できていないことがあるのです。
実はインビザラインのアタッチメントは歯に被せものや詰め物をしているところは接着がうまくできないことがあります。
そのため被せものなどをしている歯の部分のアタッチメントは外れやすいのです。
被せものが原因で外れてしまう場合は、仮歯に変えてアタッチメントを取り付けることもあります。
マウスピースや食事の摩擦が原因
アタッチメントが外れてしまうのは食事のときや、マウスピースの脱着のときの摩擦や衝撃が原因の場合が多いです。
せんべいや氷など食べるときに歯の力が必要なものを勢いよくかむと、その衝撃でアタッチメントが取れてしまうことがあります。
また、マウスピースを着脱するときは左右に均等に力がかかるようすることがポイントです。
片側にだけ力がかかる形で着脱をしようとするとアタッチメントが取れてしまうことがあります。さらにマウスピースの破損にもつながるため注意が必要です。
歯に汚れがたまっている
アタッチメントをつけた部分は思ったより汚れがたまりやすいです。
アタッチメントはレジンで作られているため汚れが付いたままになっていると、だんだん劣化してしまい外れやすくなってしまいます。
歯磨きをするときはアタッチメントの部分も、しっかり汚れを落とすように歯の1本1本を丁寧に磨くようにして下さい。
ただし強くゴシゴシ磨いてしまうと、それが原因でアタッチメントが外れてしまうことがあるため適切な力加減で歯磨きをすることが大切です。
かみ合わせが深い
アタッチメントが外れてしまう原因としてかみ合わせの問題もあります。
上の歯と下の歯のかみ合わせが深いとアタッチメントがある歯同士が当たってしまうのです。
そのせいでアタッチメントが外れてしまうことがあります。しかし治療を進めていけば、かみ合わせは改善されていくことが多いです。
何度も外れてしまうときは歯科医に相談をするようにして下さい。
アタッチメントが外れたときの対処法は?
アタッチメントは小さいため気が付かない患者さんも多いですが、万が一取れてしまったらどうなるのでしょうか。
もし、アタッチメントが取れてしまった場合にどう対処するのかをここでお話していきます。
外れ具合を担当歯科医へ連絡
インビザラインの矯正中にアタッチメントが外れていることに気が付いた場合は、すぐに担当の歯科医に連絡をするようにして下さい。
そのときは「今何番目のマウスピースを使っているか」「取れたのはどこの歯か」を伝えます。
これは現時点でどの歯を動かしているのかを歯科医が判断するために必要な情報です。
アタッチメントが取れてしまった歯が、その時点で動かしている場所の場合は早めに付け直す必要があります。
その判断を歯科医がして再受診を早めるか、予定通りの来院でよいのか指示されるはずです。
次回来院時に再配置
アタッチメントが外れてしまったときは、次に歯科医に来院したときに再配置します。
取れてしまった場所が動かすことに支障のない場所であれば、治療への影響がすぐに出るわけではありません。
早めに再来するか予定通りでよいかは歯科医の指示に従って下さい。
そのまま放置するケース
アタッチメントが外れてしまっても歯の移動が終わっている箇所や、矯正に影響がない場所の場合はそのまま様子を見ることもあります。
しかし、これは歯科医が判断することです。アタッチメントが外れてしまったら自己判断で放っておかずに必ず歯科医に相談をするようにして下さい。
インビザラインで効果的に治療するには
インビザラインは取り外しが可能なマウスピースを使用します。それがメリットではありますが、だからこそ患者さんの協力が必要です。
予定通り効果的に治療を進めるために守ってほしいことをお話します。
マウスピース装着時間の厳守
インビザラインで使うマウスピースは長い時間装着することで効果を発揮する装置です。
食事と歯を磨くとき以外マウスピースは装着したままが基本になります。時間にすると1日20時間以上はマウスピースを装着することは守って下さい。
装着時間が短い日が続いてしまうと予定通りに治療が進まず、治療が長引いてしまうことがあります。
マウスピース装着期間の厳守
マウスピースは歯の動きに合わせて取り替えていく治療方法です。1つにつき1週間~2週間で次のマウスピースに交換します。
交換までの期間は歯科医で指示があるはずです。その指示通りに患者さんが自分で交換をしていく必要があります。
スケジュール帳に交換の日をメモしておくなど、ご自身でしっかり管理をして装着期間を守るようにして下さい。
インビザライン治療中の注意点
インビザラインで順調に矯正治療を進めるためには、さきほど紹介した装着する時間・期間の厳守は必須です。
それに加えて注意点がいくつかあるため、ここで紹介していきます。
虫歯に要注意
インビザラインに限らず、矯正中の虫歯には注意が必要です。歯列矯正のときにできた虫歯は矯正を中断して治療をします。
そうなると虫歯治療にかかったぶん矯正の期間が長引くこともあるのです。
大きい虫歯で被せものをすると歯の形が変わってしまうことがあるため、マウスピースを作り直さなければならなくなります。
インビザライン矯正はマウスピースを取り外して歯磨きもしやすいです。食後はできるだけ歯磨きをしてからマウスピースを装着して下さい。
寝る前などは歯間ブラシを使用してもよいです。口の中の清潔を保ち虫歯など口腔内のトラブルを予防することが順調に治療を進められることになります。
マウスピース装着中の飲み物に気をつけよう
インビザラインのマウスピースを装着しているときは飲み物にも気をつける必要があります。
水や普通の炭酸水であればマウスピースを装着したまま飲んでも大丈夫ですが、甘い飲み物や炭酸ジュースは控えるようにして下さい。
スポーツドリンクも糖分が多いため控えたほうがよいです。
マウスピースを装着したまま糖分を多く含んだ飲み物を飲むと、マウスピースの中に糖分が残ってそこで細菌が繁殖してしまいます。
細菌が繁殖すると虫歯の原因となってしまうのです。
またコーヒーなど色が付きやすい飲み物も歯の着色の原因になるため注意が必要になります。
甘いものや色が付きやすい飲み物を飲むときは、食事のときと同様にマウスピースを外して飲むようにして下さい。
飲んだ後はできるだけ歯磨きをするか、うがいをしてからマウスピースを装着することが望ましいです。
治療中の悩みは歯科医にすぐ相談しよう
矯正治療は歯科医の指導のもとで行います。できるだけトラブルが起こらないように進めていきますが、すべての人が順調にいくとは限りません。
装着時に痛みや違和感がある場合や、アタッチメントが外れるなどのトラブルが起こる可能性もあります。
トラブルの内容によってはきちんと処置をしなければ治療が長引くことや、治療が続けられなくなってしまうこともあるのです。
トラブルがあったら小さなことでも、自己判断で放置することなく早めに歯科医に連絡をするようにして下さい。
内容を聞いた歯科医がどう対処をするか指示をしてくれるはずです。必要であれば来院して処置をしてくれます。
まとめ
インビザラインの治療においてアタッチメントの役割は重要です。できるだけ外れないように食事のときやマウスピースの着脱に注意が必要です。
もし、外れてしまったときは必ず担当の歯科医に連絡をして指示をもらいます。絶対に自己判断で放置をしないようにして下さい。
インビザライン矯正は自分で脱着が可能なマウスピースを使うことがメリットです。しかし、だからこそ患者さんの協力が必要不可欠になります。
歯科医から受けた指示の通りに装着する時間とマウスピースに替えるまでの期間をしっかり守って下さい。
加えて何か困ったことがあった場合は、担当の歯科医に相談をすることが大切です。