顎間ゴムの種類を歯科医が解説|顎間ゴムの効果や注意点もご紹介します

【監修:青山健一】

顎間ゴムの種類を歯科医が解説|顎間ゴムの効果や注意点もご紹介します

顎間ゴムとは矯正治療で使用される直径3mm~8mm程度の医療用ゴムのことをいいます。
顎間ゴムはブラケットにあるフックに引っかけて使用されており、主な目的は動かしたい歯を調整しながら噛み合わせ整えていくために使用されています。

しかし、このゴムは色々なサイズや用途があり矯正治療では欠かせないものの1つになるため矯正治療を行う上での働きや効果を把握しておくことが必要です。
そこで顎間ゴムの種類や効果、注意点について紹介していきます。

顎間ゴムの特徴

顎間ゴムの特徴

顎間ゴムとは「ゴムかけ」や「エラスティックゴム」と呼ばれることもあり矯正治療にて使用されるため医療用のゴムで作られており、体に害はありません。
使用する目的としてはブラケットやマウスピースの矯正装置で行っている歯の移動を補助をすることです。そのため、細かな噛み合わせの調整が可能となっています。

また、顎間ゴムの最大の特徴は自分で取り付けを行わなければならない点です。
毎日交換をしたり食事時は外さなければならなかったりと日常生活に大きく関わってくるため、自分で交換ができないといけません。
ブラケットやマウスピースが歯並びを矯正する装置なら顎間ゴムは噛み合わせ矯正する装置です。

顎間ゴムの種類

顎間ゴムの種類

顎間ゴムはゴムが縮む力を利用して噛み合わせを整えていくため、様々な種類のゴムがあります。動かしたい方向や動かしたい歯によって大きさやゴムの力を変えなければなりません。
そこで、これから顎間ゴムを使用しなくてはならない人に向けて顎間ゴムの種類を紹介していきます。

歯科医に相談する前に準備をしていくことで自分の意思や希望を伝えやすくなります。あらかじめ矯正治療の理解を深めてよりよい矯正治療を進めていきましょう。

2級ゴム

2級ゴムとは上の歯が前に出ている上顎前突症例、つまり出っ歯を矯正するときに使用されるゴムの掛け方のことです。
一般的に上は犬歯付近、下は第一大臼歯付近にフックを取り付けてゴムを掛けます。
上側の歯列は後方に、下側の歯列は前方に引っ張るため使用感は顎が前方に引っ張られるような感じになることが特徴です。

3級ゴム

3級ゴムは反対咬合症例に使用します。反対咬合症例とは前歯の噛み合わせが上下逆になっているいわゆる受け口と呼ばれる状態のことです。
ゴムの取り付け位置は下は犬歯付近、上は第一大臼歯付近にフックを取り付けてゴムを掛けて2級ゴムの逆に取り付けるようなイメージになります。
使用感は顎が後ろに押し込まれる感じになり受け口の矯正を行います。

クロスゴム

クロスゴムは噛み合わせが左右にずれているすれ違い咬合(クロスバイト・シザースバイト)を矯正するときに使用されるゴムの掛け方です。
掛け方は上下で同じ歯の表側と裏側にフックを取り付けて歯の噛む面をクロスするようにゴムを掛けて矯正をします。
基本的に奥歯でのゴムの取り付けとなるため、装着が難しくなっています。

垂直ゴム

垂直ゴムは読んで字のとおりで同名歯の上下にフックを取り付けてゴムを掛けて矯正する方法です。
これは開咬と呼ばれる上下の歯が接しておらず噛み合わせが悪く、同名歯の噛み合わせを密着させたいときの矯正に使用されています。

純粋に歯の矯正でも使用されますが矯正で歯の移動の反作用で上下の噛み合わせが悪くなってしまったときに予防として装着することもあります。
前歯で使いすぎると知覚過敏になったり口が開きにくくなったりと使用時は注意をして使いましょう。

顎間ゴムの役割

顎間ゴムの役割

顎間ゴムは縮もうとする性質をもつゴムの力を利用して歯を引っ張って出っ歯や受け口、開口などの噛み合わせを矯正で使用されます。
ブラケットやワイヤー治療でも使用されていますが特にマウスピースを使用した矯正のときに重宝されています。

顎間ゴムは噛み合わせや顎のずれを整える目的で使用されるため、歯がある程度整ってくる矯正治療の中盤から終盤に使われることがほとんどです。
そのため、顎間ゴムの役割は歯科医が動かしたい場所に歯を動かした後に噛み合わせや顎のずれを整えながら目標とする歯並びへ近づける仕上げのような存在です。

顎のズレを改善する

顎のズレを改善する場合、一般的にはクロスゴムを使用します。
クロスバイトやシザースバイトは左右にずれているため、上手く食べ物を噛むことが出来なかったり口内を傷つけてしまったりしてしまいます。
軽度であれば部分矯正だけでも対応が可能な場合がありますがズレが強いと外科的手術を併用しなければならないため、早めに医師に相談をして改善を行うことが必要です。

噛み合わせを改善する

噛み合わせを改善する

この状態が続くと負担が掛かっている歯を早期に失ってしまう可能性があるため、早めに解決をすることが必要です。
一般的には垂直ゴムを使用して噛み合わせが緊密になるように矯正していきます。
前述でも紹介しているとおり知覚過敏や口が開きづらいなどのデメリットもあるため、歯科医と相談して治療法を決めていきましょう。

顎間ゴムのデメリット

顎間ゴムのデメリット

矯正治療で重宝される顎間ゴムですがよいところもあれば悪いところも当然存在します。
場合によっては1日20時間以上つけることになるため、しっかりとデメリットを理解してあらかじめ心の準備をしておくことが必要です。
そこでここでは顎間ゴムのデメリットについて紹介をしていきます。

見た目が気になる

見た目が気になる

矯正治療で度々話題になる見た目ですが顎間ゴムはフックにゴムを掛けているため、口を開くと目立ってしまうことが多々あります。
奥歯にゴムを装着している場合はそこまで目立たないこともあるため、一概にはいえませんが前歯などの見える場所に引っ掛けているときはキレイな歯並びを手に入れるために我慢しましょう。

ゴムが切れることがある

医療用とはいえゴムのため、切れてしまうことも多々あります。基本的に顎間ゴムは消耗品と考えて交換をしていったほうが良さそうです。
特にアレルギーがある場合、ラテックスフリーの顎間ゴムを使用することもありそのときはさらに切れやすくなるため注意しましょう。

通常、ゴムは一袋100個入で歯科医院がだしてくれるため切れてもすぐに交換が可能です。
ゴムが切れた場合に一番気を付けなければならないのは飲み込んでしまうことになるため、引っ張る力が弱くなったり違和感があったりしたときには注意しましょう。

自分でつけないといけない

意外と苦労するのが顎間ゴムを自分で装着しなければならないということです。
直径3mm~10mmの小さいゴムをそれよりもさらに小さいフックに取り付けなければならないため、慣れるまでは特に苦労をすることになると思います。

さらに何回かチャレンジをしているうちにゴムが切れてしまったり飛んで無くなってしまったりするため、ストレスを溜める人もいるようです。
対処法としては専用のスティックやピンセットを使うことで多少はやりやすくはなりますが最初は何度もトライしてコツを掴むことが重要のため、根気よく続けていきましょう。
どうしても難しい場合は医師に相談してアドバイスをもらうのも大切です。

顎間ゴムをつける時間や交換頻度は?

顎間ゴムをつける時間や交換頻度は?

先ほど紹介したとおり顎間ゴムは消耗品として考えたほうがよいです。
ゴムが切れてしまうことや何度も引っ張っているうちに劣化して引っ張る力が弱くなってしまうこともあるため、最低でも24時間を目安に交換をしていきましょう。
衛生的にも長時間使用することはあまりおすすめできないため、一度外したら交換してしまうくらいでも問題ありません。
また、歯科医院もそれらを踏まえて余裕をもって支給をしてくるため神経質に使いまわす必要はなさそうです。

顎間ゴムの注意点

顎間ゴムの注意点

顎間ゴムは基本的に患者が管理していかなければなりません。しかし、顎間ゴムは正しく使用できればとても効果の高い治療法です。
しっかりと使わないことで効果は得られないばかりか治療期間も長くなってしまうこともあります。
効果が目に見えるわけではなく地味で面倒なことの多い治療法ですがこれから紹介する注意点を守って治療の成功を目指しましょう。

医師の指示通りにつける

基本的な事ですが医師の指示どおりに取り付けを行いましょう。
フックもゴムも治療法に合わせて選定や取り付けが行われているため、正しい付け方を行わなければ効果を得られないだけではなくゴムが切れたり最悪の場合は悪影響を及ぼします。
取り付け方が分からないや治療法の意図がわからない場合は、一人で悩まずに医師と相談の上正しい治療法を身に付けることが重要です。

サボると治療が遅れる

顎間ゴムのゴムかけは非常に地味でストレスが溜まります。
ゴムかけは痛みがあったり口が引っ張られるような違和感があったりと矯正治療の中でも大変な作業です。さらに見た目もあまりよくないためできれば使用したくない人がほとんどです。

しかし、ゴムかけをサボってしまうと治療期間が延びるだけでなく歯並びも崩れてしまい自分が思っていた理想の歯並びからかけ離れた仕上がりになってしまうこともあります。
歯列矯正においてゴムかけは最終段階に入っている状態のため、最後にひと踏ん張りして正しい方法を守って治療を進めましょう。

顎間ゴムの不安は歯科医に相談しよう

矯正装置が外れることで悩んだら専門の歯科医に相談

顎間ゴムは見た目もあまりよくなくあまりよいイメージがない人もいると思います。
しかし、お伝えしたとおり最終の仕上げの意味合いもある治療のためしっかりと取り組まなければなりません。
治療に不安や疑問など抱えたままでは治療に身が入らず正しい効果を得られないため、歯科医に早めに相談をして納得して治療を進めることが重要です。
些細なことでも不安や疑問は早めに解決して理想の歯並びを手に入れましょう。

まとめ

まとめ

今回紹介したとおり顎間ゴムはとても重要な治療法です。
せっかくここまで我慢して治療を進めてきてもこの治療で手を抜いてしまうと今までの苦労が水の泡と消えてしまうこともあります。
ゴムかけまでたどり着ければ残りはもう少しなため、我慢をしてコツコツ進めて矯正治療を進めていきましょう。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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